Wi-Fi感覚で充電できる!「Cota」に熱視線

全家電ワイヤレス充電!ありえる?

2016.02.16 TUE


「CES2016」でお披露目された「Cota」。複数機器を同時に充電できるのも強みで、スマートフォン以外に単三電池の充電なども行われた。ちなみに、「au ID」と紐付けることで充電が可能となるので、盗電される心配などもないという
スマホを使おうと思ったら、電池残量があとわずか。しまった…、充電ケーブルにつなぐのを忘れていた。誰しも経験があるこんな状況。しかし、これからは、充電ケーブルへのつなぎ忘れがなくなるかもしれない。というか、充電ケーブル自体がなくなるかもしれないのだ。

アメリカ・ラスベガスで開催される世界最大の家電見本市「CES 2016」に出展されて話題となった「Cota」は、複数の機器類を同時に充電できるワイヤレス給電システムだ。アメリカのスタートアップ企業「Ossia」と出資する「KDDI」が共同で開発を進めている。

すでに日本でも、「Qi規格」という規格を利用した、NTTドコモの「おくだけ充電」(=充電台にスマホを置くと充電が開始される)が実用化されているが、「Cota」は充電台も必要がなく、約10m離れた場所から最大1Wでの給電ができるという。

「ワイヤレス給電には、“電磁誘導方式”、“電磁界共鳴方式”、“電波方式”の3つがあります。Qi規格は“電磁誘導方式”になりますね。Cotaは“電波方式”を採用しており、Wi-Fiと同じ2.4ギガヘルツ帯の電波を利用しています」と教えてくれたのは、KDDIで新規ビジネス推進本部長を務める雨宮俊武氏。しかし、電波で充電って、一体、どんな仕組みなのだろう。

「そもそも、電波は電力を変換したものですから、電波から電力に変換することは可能であり、そのような研究は以前から行われていました。これまでの充電は、受電側のデバイスに向けて、送電側のデバイスから出力が強い電波を直線で発信する仕組み。しかし、出力が高すぎると部屋が電子レンジ状態になってしまうし、直線で発信される電波を特定の場所で受信するのは、充電機器として非実用的です。Cotaが革新的なのは、受電側のデバイスが電波信号を発信して、送電側のデバイスに位置を知らせることで、部屋中のどこにいても、充電が可能な点なんです」

気になるのは1Wという出力だ。出力が高すぎると危険という理由はわかるけど、一般的なスマートフォンの充電器は5V1Aなので約5W。そう考えると、少し小さすぎないだろうか。「Ossia」のハテム・ゼイン最高経営責任者は「スマートフォンなら、条件がよければ1時間に20~25%の充電が可能」としているが、だとしても、満充電に4時間程度かかってしまう。まあ、家に帰って次の日の朝に出勤するまでの間には充電されているので、十分といえば十分なのだが…。

雨宮氏によると、「スマートフォンの充電はもちろんですが、最も有効だと考えているのは、ウェアラブルデバイスやセンサーなど、IoT機器への活用です」とのこと。確かに、電池容量が少ないウェアラブルデバイスなら、1Wでもすぐに充電ができそう。また、電力消費が少ないIoT機器なら、「Cota」から常に電力を供給することで、電池切れという概念がなくなりそうだ。

「将来的には、街中にあるWi-Fiスポットを利用することを考えています。カフェや駅、ホテルなど、さまざまな場所でWi-Fiがつながるように、充電という行為を気にしなくても、つねに充電されているという状態が理想ですね」

アメリカ本国では、現在の出力なら健康への影響がないことも確認されており、また、Wi-Fiなど他の2.4ギガヘルツ帯を使う機器類との干渉がないことも分かっている。2016年中には、製品として市場にお目見えしそうだ。

「日本では電波法の問題などをクリアする必要があるので、少し遅れそうです。それでも、2017年中の製品化を目指して動いています」

総務省が開く「電波有効利用の促進に関する検討会」において提出された資料「ワイヤレス電力伝送技術の実用化に向けたロードマップ」では、より具体的な未来像が描かれている。例えば室内であれば、壁の内部に送電機を埋め込み、パソコンやテレビ、白物家電などもコードレスで稼働。オフィスではデスクにスマホを置いていたり、デスクの上方空間で使っていたりするだけで充電される。医療分野では、体内に埋め込むタイプの医療機器などの電池交換も必要なくなる可能性があるという。

ユニークなところでは、送電機能を持たせたスーツやカバンを開発することで、電池切れを気にせずに、モバイル機器やウェアラブルデバイス、ヘッドマウントディスプレイを使えるようにするといった考えも提唱されている。また、電気自動車やプラグインハイブリッド車も、駐車するだけでなく、走りながら充電ができる実験も行われている。

なんだか、とっても未来な感じがするコードレス給電社会。もしかすると「Cota」は、今後、加速度的にコードレス給電が普及していく最初の一歩になるかもしれないぞ。
(コージー林田)

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