Pepper、地平アイこ…表情や視線も進化していく!?

AI受付ロボット、進化のカギは「ジェスチャー」にあり

2016.08.16 TUE


2015年4月、日本橋三越本店で受付嬢デビューを果たした地平アイこ。ヒト型ロボットを人に限りなく近づける様々な技術開発が行われている
写真提供/Rodrigo Reyes Marin/アフロ
人と同じように会話し、相槌を打ち、笑顔を浮かべる――そんな高性能なコミュニケーションロボットの開発が進んでいる。技術の進化にともない、最近はホテルやデパートの受付業務を代行させようという“実用化”の動きも盛んだ。

たとえば、昨年4月、日本橋三越本店1階に受付嬢ロボット「地平(ちひら)アイこ」が登場した。東芝が開発したコミュニケーションロボットで、人間らしい容姿と表情が特徴。2日間の限定ながら、コミュニケーションロボットが百貨店の受付業務をこなしたのは初の試みだという。

他にも、みずほ銀行がヒト型ロボット「Pepper」を店舗に設置し接客にあたらせたり、アパホテルが“名物社長”の元谷芙美子氏をモデルにした人工知能Botキャラクターに受付業務を行わせたりする動きもある。

このように、「実像(ロボットまたはキャラクター)」+「対話能力(音声認識・人工知能)」の組み合わせによって、単純な受付業務ならば人工知能が行うことが可能になりつつあるようだ。

また、そこからさらに別の技術を掛け合わせ、より自然なコミュニケーションを実現させようという研究もある。鍵を握るのは“ジェスチャー”だ。

「ジェスチャーとは、たとえば、言葉を発するときの身振り、手振りです。コミュニケーション能力が高い人は、無闇にジェスチャーをしているわけではありません。重要な説明をする際、相手の視線を向けさせるための動きなど、対話を円滑に進める機能としての身振り、手振りをロボットが理解することができれば、より人間に近い、自然なコミュニケーションが可能になると考えています」

そう語るのは、東京工業大学の岡田将吾助教。日常会話にともなうジェスチャーを分析し、コミュニケーションロボットに組み込む研究を進めている。

「会話の中のジェスチャーをコンピュータービジョンで読み取り研究していくと、ある動きに規則性が表れることがあります。たとえば、手の動きと声を発するタイミングに連動性があるとすれば、“手を動かした直後に話し出す”といったパターンをモデル化できます。その仕組みをコンピューターが覚えれば、相手の身振り手振りから“会話の間合い”もはかることができるようになる。『この人はまだ話し足りないのか?』『話し終わってこちらのリアクションを待っているのか?』…そこまで読み取り、円滑な会話を行うことが可能になるはずです」

さらに、様々な技術を組み合わせることで、コミュニケーションの精度はより高まるようだ。

「表情や視線にまつわる研究も盛んです。人間の表情のパターンから怒りや悲しみを認識したり、視線の方向から対象や興味の度合いを読み取ったり。あとは、人が相槌を打つタイミングについての分析も行われています。これら“言語以外のコミュニケーションのチャンネル”と音声認識、ディープラーニングといった人工知能の技術を連携させれば、さらに汎用性の高い対話ロボットが生まれるのではないでしょうか」

未来の受付ロボットは、遅刻すまいと走ってきた訪問者の様子を読み取り、相手を落ち着かせる気の利いた一言をかける。たとえば、そんな人間味あふれるコミュニケーションすら可能になるかもしれないという。

「10年後、20年後は、本当の意味で人間の感情に寄り添うようなロボットが現れるかもしれません。そうなれば受付業務だけでなく、カウンセリングを行うようなAIロボットも現れるでしょう。すでに、アメリカでは戦地から帰還した軍人のカウンセリングをサポートする人工知能もあります。軍人に限らず、自殺願望を抱えるような重度のうつ病患者からの相談を聞き、アドバイスを送るAIロボットはカウンセラーのサポートをしてくれるでしょう。あるいは、人と話す機会が少ない独居高齢者と親身な姿勢で会話を行うコミュニケーションロボットも重要です。コミュニケーションロボットが代替することで、負担軽減につながる分野は少なくない。人工知能が人間の仕事を奪うという議論もありますが、ことさらに怯えず、テクノロジーと協働していく姿勢が重要なのだと思います」

見た目の精巧さ、コミュニケーション能力、気遣い、すべてがハイスペックな完全無欠のAIロボット。少し恐ろしい気もするが、彼らと語り合える未来は、それはそれで楽しいのかもしれない。

(榎並紀行/やじろべえ)

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