サンプル品から医療、教育分野まで…

世界初のフルカラー3Dプリンタ その驚きのスペックとは

2008.05.16 FRI


『ZPrinter 450』で造られたサンプル品。パッと見ただけでは本物か模型か区別がつかない。3次元データさえあれば、これが自動でできるというからオドロキだ 画像提供/株式会社DICO
4月12日まで東京ビッグサイトで催されていたカラーデザインの展示会『COLORSESSION 2008』。そこで1つのマシーンが話題をさらった。

その名も『Zprinter450』。米国で開発された同機は、コピー対象物の3次元データから、姿形のまったく同じ立体模型を造り出す世界唯一のフルカラー3Dプリンタなのだ。

モノの立体コピーとはまさにSFのような話だが、3次元のデータがあれば、原則として何でも造れるというからオドロキだ。いったいどのようにしてコピーするのか? 同機の日本総代理店であるDICOの宇賀神裕寿さんにお話をうかがった。

「作業工程はいたってシンプルです。CAD(3次元データを作成するソフト)でコピー対象物の3次元データを作り、同機にインプットするだけ。あとはマシーンが自動で行います」

まずは取り込まれた3次元データを0.1mmの厚さにスライス。次にそのスライスデータをもとに、造形エリア内に0.1mm層の石膏(カルシウム系のパウダーでコピー品の素材)を乗せる。今度はその層の上にインクジェットでノリを塗布。この繰り返しで層を重ねると、最終的にコピーされた立体模型ができ上がる。

実際、同機で造られたメロンの模型を見たが、表面のスジから細かいくぼみまで完璧に再現され、触らないと模型とわからないほど。本物と並べると、ウリならぬメロンふたつ状態だ。

この技術は現在、意外な現場でも注目されているという。

「基本的には、メーカーの商品開発検討のサンプル品作りに用いられるケースが多いですが、最近は医療現場でも注目されています。例えば、事故で右腕の骨を失った場合、以前はほかの骨を削って移植していましたが、これでは人体への負担が大きい。そこで同機の技術をもとに、左腕の骨をスキャンして3Dデータにし、石膏ではなく、骨に近い成分を素材として立体コピーするという骨作りの研究が進められています」

このほか、外科手術のシミュレーションやインプラント(人工的に義歯を埋める治療)にも利用されるなど、医療現場におけるリスク回避に大きく寄与している。SFさながらのハイテクさばかりに目が行きがちだが、実は意外と我々の身近なところに関わっているようだ。

「デザインや理系の授業など、モノのリアル感が必要な現場でも役立つと思うので、今後は学校などへも導入したいですね」

様々な現場で活躍する可能性を秘める同機。改めてこの技術の有用な使い道を知り、当初、「あのアイドルの等身大が造れるかも」などと妄想していた自分を本当に恥ずかしく思った。
(下元 陽/BLOCKBUSTER)

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