隣の理系がワカラナイ

第1回 そもそも「理系の人」ってどんな人なの?

2008.12.05 FRI

隣の理系がワカラナイ


理系人材不足には、急激なIT産業の伸びも影響しているのだとか。「理系出身者」というパイは変わらないのに、「IT」という新しいカテゴリーが生まれ、そこに大量の人材が流れてしまったお陰で電気や機械分野は人不足に陥っているのだそうです。

「理系職種」ってどんな仕事があるの?



ドラマ『ガリレオ』で福山雅治が演じた湯川博士は、理屈っぽい変人として描かれていたけれど、これって文系の人が理系の人に抱いているイメージに近いかもしれません。
でも、本物の理系の人ってそんなに取っ付きにくいんだろうか? だいたい「理系」といったって、コンピュータ関係から科学者まで、いろいろいるはずですよねぇ。

そこで、まずは「理系職種」にはどんなものがあるのか、転職サイト「リクナビNEXT」およびエンジニア向けサイト「Tech総研」の黒田真行編集長に聞いてきました。

「一言で理系職種といっても相当幅広いんですよ。リクナビNEXTの職種分類では、(1)ソフトウエア・ネットワーク(IT)、(2)電気・電子・機械、(3)素材・食品・メディカル、(4)建築・土木という4つに分かれていますが、それらをひっくるめて理系出身者が多い職種ということになります。営業や事務系も含めた求人案件全体から見ると、IT系技術職が約8%、回路設計などの電気・機械系技術職が約7%と、決して多いわけではありません。ところが技術系職種の場合、求人に対して人材が少ないので、不況でもかなりの売り手市場なんです」

それだけの売り手市場なら、かなり高いお給料をもらっているんだろうなぁ。
と勘ぐりたくもなりますが、実は、理系出身者と文系出身者の生涯賃金を比べると、理系の方が約5000万円も低くなってしまうというデータ(松繁寿和教授・大阪大大学院国際公共政策研究科 1998年)があるそうで。

「政財界のトップは文系出身者が多いため、平均で見ると理系のほうが少なくなってしまうのでしょう。しかし、転職市場においてエンジニアは人気で、高いお給料を払っても入社してほしいという会社は少なくありません」

せっかく企業からの人気はあるのに、子どもや学生の理科離れが深刻で、理系に進む若い人が少ないから企業も困っているのだとか。ところが黒田さんによると、技術系企業以外でも理系の人を求める傾向は強まっているそうですよ。

「経営工学や金融工学など、経営や金融といった文系の分野に工学という理系キーワードを組み合わせた分野があるのを知っていますか? これは経営や金融を考えるときに統計や確率といった数理的要素を取り入れることで、合理化・効率化を図り、成功確率をアップさせようという考え方です。ビジネスの現場では、業種を問わず、今後ますます理系の人たちへの期待度が高まるはずですよ」

文系の主戦場である経営や金融で、理系の人が我々文系のライバルになるかもしれないとは!? 気づかないうちに、あなたの隣にも理系の人がいるかもしれません。今のうちに理系についてしっかりお勉強しておかなくちゃ!
『理系の人々』より/(c)よしたに (c)中経出版 仕事、日常、恋愛などなど、理系の理系たるゆえんがワカル1冊。発売直後から売れまくっているようですし、どうも最近、理系が「キテる」ような気がするんですが…。

『理系の人々』の作者に理系職種の現実を聞いてみた!



理系のことを知るならば、実際に理系の人から話を聞くのがイチバン!
というわけで、現役のシステムエンジニア(SE)として会社に勤務しつつ、『ぼく、オタリーマン。』『理系の人々』を執筆中の漫画家・よしたにさんに、理系職種の代表格であるSEの現実を聞いてきた。

「一般の人は、SEはいつもコンピュータに向かっていると思っているようですが、実際にはそんなことはなく、お客様先で色々と相談することもありますし、紙とペンでシステム設計を考えたり、プログラミング、テストなどもします。仕事量が多いので他業種の人から『大変だね』と言われることもありますが、どこかで『徹夜をすればどうにかなる』と思っていますからね。徹夜してもどうにもならない商社のような仕事も大変だと思いますよ」

「徹夜すればどうにかなる仕事」っていう点だけは、ライター稼業と似ています。が、どうも私たちとは思考が違うように感じるんですけれど。

「確かに、文系の人と話していると、何らかの結論に結びつかない話だったり感情に左右されるような話が多いような気がしますね。しかも、普段使っているプロトコルで会話できないからもどかしい。その点、理系の人同士なら、たとえ情報と化学というようにまったくの別分野だとしても、考えの積み上げ方が同じなので会話しやすいんですよ」

よしたにさんの言う「プロトコル」というのは、コンピュータ同士がやりとりするときの約束事のことで、ここでは「常識、知識、言語」などを指しているのだと思われますが(この辺が理系っぽいといわれるゆえんかと)。とにかく、私たちとはちょっと異なる思考・言語をお持ちなのですね。

「基本的にコミュニケーション下手な人が理系に進みやすいのだとは思いますが、人嫌いなわけじゃないんですよ。『理系の人々』を読んだ読者からも『理系の人は根性が曲がっているんじゃなかったんですね』っていうメールをもらいました(笑)」

最後に、理系の人と仲良くするときの注意点をよしたにさんに教えてもらった。

「気を遣ってパソコンの話題などを振ってくる人がいますが、中途半端に僕たちの専門分野に踏み込むのは危険です。相手が理解しているかどうかなどお構いなく、隅々まで説明しないと気が済まないのが理系なので、聞かされる相手は『振らなければよかった』と後悔するに違いありません。あくまでも自分が本当に聞きたいことを話題にしてください。一見興味がなさそうなことでも、意外と守備範囲は広いのでかみ合うかもしれませんよ」

う~む、やっぱり想像以上に奥が深い。
よくよく聞いてみれば、感じが悪いわけでもないし。理系の人々に、ますます興味が沸いてきましたよ! 仕事柄たくさんの理系の人に会ってきたつもりでしたが、
こうして改めて「理系の人ってどんな人?」と考えると、
実は、よく分かっていなかったんだと思い知りました。

もちろん、理系といってもいろいろな職種がありますし、
何もかも「理系」と一括りにするのはちと乱暴かもしれません。

とはいうものの、文系の人間にとって、
理系の人たちはあまりにもミステリアス。
できることなら、もっとお近づきになりたいのです。

そんなわけで、これからも理系の人たちの生態に
あらゆる角度から迫りたいと思います。
「理系のこんなところが分からない」「自分の周りの理系の人々」
といった、文系の皆さんからの質問・レポートをはじめ、
理系の皆さんからの反論・訴えなどもお待ちしています。

リクナビNEXT

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