50万円で宇宙に行きた~い!

第1回 宇宙旅行はもう始まっている! でも!

2009.03.31 TUE

50万円で宇宙に行きた~い!


写真の国際宇宙ステーションに約1週間滞在するオービタル旅行。価格は22億円だが、今後はさらに値上がりするとか。何回くらい輪廻転生すれば稼げるのだろうか…。画像提供:スペースアドベンチャーズ社

宇宙旅行は投資目的!?遅れに遅れたその実情とは



ところで、肝心の宇宙旅行はもう実現したのかな? たしか2007年ごろからサービス開始予定だった気が。アレ? もう過ぎてんじゃん? というわけで、『宇宙の歩き方』の著者、林 公代さんに話を聞いてみました。

「民間人の宇宙旅行サービスはもう始まっています。いま現実的には2つのプランがあって、ひとつは宇宙にある国際宇宙ステーション(ISS)へ行き、そこで約1週間泊まって生活するオービタル旅行。無重力の状態で読書をしたり音楽を聴いたり、地球上と同じような生活を楽しめます。オプショナルツアーで船外での宇宙遊泳もできるようです。漆黒の宇宙空間にひとり漂いながら地球を眺めるのはとても神秘的な体験だと思います。このオービタル旅行はスペースアドベンチャーズ社(以下、SA社)によって、世界最初の民間宇宙旅行として2001年に実現しました。JTB社が業務提携していたのがこのSA社です」

うひょー! 宇宙空間を漂うだけで、ニュータイプに覚醒しちゃいそう! さらにISSからは流れ星が眼下に流れていくさまを確認できたり、オーロラがISSと同じ高度に広がっているのでオーロラに突っ込むなんてこともできるとか。考えるだけでテンション上がりますなぁ。SA社のオービタル旅行はこれまで6人の民間人が体験しているけど、日本人の体験者はゼロらしい。

で、気になるお値段は!?

「22億円以上です」

一生働いてもムリ!
つか安くなってないし!
ハイ、次!

「より安くて注目されている宇宙旅行のもう1つのプランが、宇宙と定義される地球上空100kmまで飛んで、宇宙と地上の境界線を越えて降りてくるサブオービタル旅行です。約1時間半~3時間のフライトで約5分の無重力を体験できます。フライト時には周りの大気圏の色が徐々に変わり、地球の弧が徐々に丸く変化していくのを確認できます。実はこちらはまだ試験段階なんですが、実現のあかつきには金額は20万USドル(約2000万円)になります」

宇宙に入った! と思ったらすぐ急降下。無重力状態は5分と短いが、天井を歩いたり、くるくる回転したりできるのは宇宙空間の証し。ボールをバットで打てば反作用で自分の体が回転するし、おならをすれば前にも進む。とはいえ値段は2000万円かひいふうみい1950万円足りないと。

実はほかにも飛行機で放物線飛行を行い、意図的に無重力を発生させる「無重力体験」や、ミグ戦闘機で高度25kmの大気圏下部の上縁まで飛ぶコースなどがある。これらの方法はサブオービタル旅行より安く済むんだけど、厳密にいうと高度100kmに達していないものは宇宙旅行とはいえないのだ。

うーん、そういえばアマゾン・ドットコムのCEOやゲーム会社など、2005年にいろんな企業が宇宙旅行に着手してたけどあれって今どうなったの?

「宇宙旅行がブームになった2005年から様々な企業が計画を発表しましたが、正直どこまで進んでいるかわからないものがほとんどなんです。1996年に民間資金による宇宙旅行開発レースアンサリXプライズがスタートしました。3人乗り宇宙船を2週間以内に2回、高度100kmの宇宙空間まで打ち上げる、というものだったんですが、開催から8年経ってもどこも成功しなかったんです。2004年にようやくアメリカのスケールドコンポジット社が製作した宇宙機スペースシップワンが高度100kmの宇宙飛行を達成して、その後、イギリスのヴァージングループがビジネスパートナーに加わって運行を行うヴァージンギャラクティック社を立ち上げるまでに至りました。同社が宇宙旅行サービスを始めると発表したのが2005年だったんです」

つまり、世界で初めて高度100kmの宇宙まで到達した民間機が誕生し、具体的な運行を行うヴァージングループが加わった。商業宇宙旅行実現の役者がそろった2005年、だから一気に宇宙旅行がブームになったのか。

「2005年はIT系のベンチャー企業をはじめ、みんなが投資先を探していた時代。そんな機運もあって技術者に知り合いがいる人などが宇宙旅行ビジネスに参入して投資を得ようとしたんです。とりあえず、技術はなくてもロケットの完成予想図を発表したり」

えー! 宇宙旅行は投資目的の話題づくりだったってこと!?
大ぶろしき広げっぱ!?

「というよりも、淘汰されて残るべきところは残って安全確実に進めています。現状、サブオービタル旅行を実現できるのはヴァージンギャラクティック社だけでしょう。ヴァージングループはヴァージンアトランティック航空を持っているから安全面はもちろん、設備やサービス、運行などのノウハウがあり、資金もある。何より高度100kmのテストフライトを実現しているのは同社だけですから」

宇宙旅行に沸いた2005年から約4年。
一般人が宇宙を旅するには高度な技術が必要なうえ、莫大な資金がかかる。
何より旅行ならば安全第一。テストフライトも何度もしなきゃ。
要するにそう簡単には実現しないのね。

よしっ! 最有力株のヴァージンギャラクティック社に行って、
50万円の宇宙旅行をハードネゴシエイトしてきます!
こちらはヴァージンギャラクティック社が開発中の「スペースシップ2」。高度110kmの宇宙まで飛んで、約5分の無重力を体験して地上に降りる。現在70%が完成し、年内完成予定。その後テストフライトを行い、2011年にはサービス開始か? 画像提供:ヴァージンギャラクティック社

50万円で宇宙旅行ができる条件とは?



高度100kmの宇宙を旅するサブオービタル旅行。多くの企業が挑戦するも、なかなか実現にこぎ着けないのが現実だ。ここはひとつサブオービタル旅行の最有力株に当たってみますか! 「ヴァージンギャラクティック社」と業務提携している日本の代理店、「クラブツーリズム」の浅川恵司さんに話をうかがった。

「サブオービタル旅行は、まず宇宙機を背負った母機で高度16kmの上空へ飛び、そこから宇宙機のスペースシップ2を空中発射します。スペースシップ2はロケット点火後30秒以内にマッハ3を超えるスピードに達し、高度110kmまで飛び立ちます。宇宙では4~5分の無重力を体験でき、この間に乗客はシートベルトを外して、空中遊泳や窓から地球の景観を楽しむことができます」

マッハ3とはいかなるスピードか? 地球の景色が一気に遠ざかり大気圏を脱出。高度100kmを超えれば一面に漆黒の宇宙が! 眼下には弧を描く青い地球! 地球圏外に飛び出た僕は一体何を感じるのか。シートベルトを外してひとまず無重力を堪能するもよし、一点の曇りもない満天の星空を眺めつくすもよし。ララァ、私を導いてくれ。
で、ぶっちゃけ実現するのはいつ? 明日? 来週?

「実際にサービスがスタートするのは、最短でも2010年かそれ以降でしょう。ヴァージングループのリチャード・ブランソン会長は、スピードを競うレースではなく安全性を第一に考え、それが確保できた時点で商業宇宙旅行をスタートすると表明しています」

なるほど安全第一ね。そりゃいちばん大切だ。
ところで、ものは相談なんすが、実現したら僕も乗せてもらえませんかね。
いやお金は払いますよ! 50万円! テスト飛行でもいいんで!

「そういったお願いはちょっと。ただ、第1便が実現して宇宙旅行の素晴らしさが伝わり、競合他社が参入して宇宙旅行者が増えれば、価格を下げることも考えられます」

そうか!
宇宙船をじゃんじゃん飛ばして乗客が増えれば収益が上がり、旅行代金も安くなる?

じゃあ、年に何回ぐらい飛ばせばいいんだろう?

実は、日本では1990年代から「日本ロケット協会」という組織が100万円の宇宙旅行実現を研究・調査していたのだ。現在、その研究を引き継いでいる「日本航空協会・航空宇宙輸送研究会」の橋本安男さんに、50万円の宇宙旅行をシミュレーションしてもらった。

「将来50万円で行けるとすれば、やはりサブオービタル旅行になりますね。仮に、50億円で何度も利用できる機体を完成させれば20人乗りのロケットで年に300回飛ばせば、旅行費は50万円になります。地球の周りを2回周回する(国際宇宙ステーションには滞在しない)オービタル旅行だと、機体価格が500億円の50人乗りロケットの場合、年間300回のフライトで旅行費は300万円くらいになります」

開発コストや大気圏再突入のリスクなど問題は山積みだが、
理論上では宇宙船をバンバン飛ばせば、大幅プライスダウンも夢じゃない!
リアルな話、僕らが生きている間に50万円で宇宙へ行くってのはありえるかも。
いや、きっと50万円で宇宙に行ける日が来るはず。
つか、50万円じゃないと絶対に行けないんで! 取材を進めるにつれ、2005年に盛り上がった宇宙旅行は、
いかに実現が難しいものだったかを実感しました。
時流に乗って様々な企業が宇宙旅行に参入したけど、
どこも実情は遅れに遅れて、いつ実現するのやら。
宇宙旅行を販売する代理店の苦労や心労は相当なものでは?

とはいえ、確実に宇宙旅行のチャンスは僕らに近づいていると感じました。
だって、日本で個人の海外旅行が認められた1964年当時は、
値段が高すぎて富裕層しか海外に行けなかったんだから。
それが、今や数万円で海外に行ける時代になったでしょ。

きっと、宇宙旅行だって同じですよ!
ちなみに取材をした林 公代さんの予想では、
「あと20年もすれば300万円台になるでしょう」とか。

上から(宇宙)目線で人類を見る日に備えて、
これから不思議な宇宙の世界に体当たりでチャレンジします!

あなたが宇宙で知りたいことや、やってみたいことがあれば、
お便りプリーズ!
どんなことでも、足を使って調べてみます。

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