ネットの常識・非常識

第10回 こんなに違う!今と昔のネット事情

2009.04.01 WED

ネットの常識・非常識

こんにちは。

明日で35回目の誕生日を迎え
(エイプリルフールのネタじゃないですよ)、
いよいよR25世代から飛び出してしまう
パーソナリティ、熊山です。

ですが、気分はいつまでもR25世代!をモットーに
いつまでも10年前、25歳だったころの気持ちを忘れずに
みなさんと記事を作っていきたい。

10年前といえば、1999年。

ノストラダムスの大予言はさておき、
NTTドコモのiモードや、2ちゃんねるなどが誕生し
東京めたりっく通信がADSLを提供開始、と
この年は、その後の我々の生活にもかかわる
重要なネットサービスが生まれた年でもありました。

ほんの10年前は、
ブロードバンド接続のネット環境がなければ
ケータイでメールこそすれ、ケータイでネット接続する
なんてこともできなかったわけです。

それより前の人たちは、
どうやってネットに接続してたんでしょうかね。

それがズバリ、
今回「ネットの常識・非常識」のテーマ。

いざ、十数年前の世界へタイムスリップ!


ロードウォーリア製の音響カプラー「テレカプラーIIプラス」(販売完了)。モデムが使えない場面で、電話の受話器をあてがって音声信号をデジタルデータに変換する

遅い! 高い! 面倒くさい!古参ユーザーが語るネット接続苦労話



みなさん、今この記事をどういうネット環境でご覧になってますか? フレッツ光をはじめとするFTTHでしょうか? あるいはADSLやCATV? もしくはケータイやPHSによるダイヤルアップ? はたまた最近試験サービスが始まったモバイルWiMAX?

ともあれ、ほとんどの方が高速のブロードバンド通信による接続方法で、日々ネットの大海原をスイスイと泳いでいることだと存じます。

でも、先ほど挙げたサービスが存在しなかった10年以上前、その頃のユーザーたちはどうやってネットに接続していたんでしょうか? 気になりません?
というわけで、インターネットが普及するもっと前、20年以上前から「パソコン通信」を楽しんでいた(?)という『窓の杜』(インプレスウォッチ)編集長の石橋文健さんにお話をうかがいました。

「1980年代の当時はインターネットではなく、アスキーネットやPC-VAN、ニフティサーブなんかのパソコン通信会社のサーバーにダイヤルアップ、つまり、パソコンから電話をかけてコミュニケーションをしていました。そのころの電話線は今みたいに電話機を簡単に差し替えられるモジュラージャックではなかったので、音響カプラーといって電話の受話器にガボッとはめる機器を使い、データを音に変換して通信していました。、なんせ音なので、通信中に周りで大きな音がしたり、電話回線にノイズがのったりすると、簡単に文字化けが起きるんですよ(笑)」

扱っているデータはデジタルなのに、手段はアナログだったという、初期のパソコン通信。データを送受信するスピードも、今では考えられないほど遅かったとか。

「音響カプラーの時代の通信速度は300bpsで、今の光接続の約30万分の1です。そういや、当時の通信速度をbaud(ボー)で表すことが多かったので、300ボーって言ってましたね。その後、1990年ごろに海外からの輸入モデムが秋葉原で買えるようになって、その通信速度が1200bpsくらい。これはちょうどタイプライターで文字を打ってるような速度で、受信した文字が画面に表示されていくのが読めるくらいのスピードでした。さらに2400bpsになると、画面に文字が読めないくらいのスピードでバーッと表示されて感動したものです。そのころのモデムには、ノイズなどによるエラーを修復するデータ訂正機能がついたので、ようやく文字化けの心配もなくなったんです」

なお、現在の電話回線を使ったダイヤルアップの通信速度が56kbps(5万6000bps)、ISDNで64kbps(6万4000bps)。これでも十分遅いので、1990年当時の通信速度がいかに遅かったか、推して知るべしでございます。

「しかも当時はパソコンとモデムの相性みたいなものがあって、買ってきたモデムが自分のパソコンでは動作しなかったり、実際にどのくらいの通信速度が出るか使ってみるまでわからなかった(笑)。それに、通信料金も高かったですね。今ではインターネットといえば定額が当たり前ですが、当時は接続した時間分の電話料金(市内なら3分につき10円)とパソコン通信の利用料金(およそ1分につき10円)がかかってました。だからみんな、読みたいコンテンツを自動的にダウンロードしてくるオートパイロットソフトを使って、ネットに接続したらとにかくバーッとデータを落としてきて、電話を切った後でゆっくり読んでましたね」

今みたいなメガスピードの常時接続、かつ定額制とは違って、ノロノロスピードのダイヤルアップ、しかも従量課金制という大変な時代だった当時。

「でも最初は文字だけだったコンテンツが、次第に画像がつき、音声になり、動画になりとリッチになっていく過程は、ワクワクしましたね。ムラ社会みたいだったパソコン通信も楽しかったですが、世界につながっているインターネットに接続した時は興奮しました。でも、手間ひまと何十万円もお金をかけても、やってることはメールを読んだり、掲示板の書き込みを確認したり、チャットする程度でしたけど(笑)。でも、貴重な体験として今の自分の財産になっていると思いますね」

みんな貧乏でなんにもなかったけど、確実に右肩上がりで豊かになっていった。そんな石橋さんの体験談は、まるでネット版『ALWAYS 三丁目の夕日』。悲惨な話ばかりですけど、笑い飛ばしながら語れる姿を見て、実はけっこううらやましいなと思ってしまいました。
日常的にメールを何百通もやりとりする人にとっては、挨拶文や結語などを入れるのすら手間ですものね。そういう方はぜひ、当サイトの「1時間早く帰るIT仕事術」の「第4回 時間食いのメール書きを克服したい!」をご覧ください

ベテランのネットユーザーがメールの全文引用をしないわけとは?



みなさんもこんな経験がありませんか。

急ぎのケータイメールでも、友達や仕事の同僚などいわば身内同士のメールでもなく、いわばフォーマルなお仕事メールを送ったのに、挨拶文や結語、署名すらなく「了解」とだけ返信されたことが。

これはまあ、少し極端な例ですけども、インターネットが普及する以前、パソコン通信時代からのベテランネットユーザーのメールって、こんな感じで素っ気ないのが多いような気がするんです。

その理由はなぜなのか? 老舗のオンラインソフト紹介サイト『窓の杜』(インプレスウォッチ)編集長の石橋文健さんにうかがいました。

「言われてみれば、確かに私も返信メールで挨拶文をつけなかったり、引用は必要な個所だけにする場合が多いですね(笑)。これはなぜかというと、今のようなADSLや光によるブロードバンドの常時接続が登場する以前、ネットユーザーはアナログのおっそ~い電話回線でメールサーバーにアクセスしていたからなんです。当時は回線が遅いうえに、電話料金とプロバイダ料金も従量課金制が多かったので、極力データが小さい=用件のみのメールが良しとされていました。その時の名残なんですよ」

なるほどー。できるだけデータを小さくして、送受信ともにお互い負担を軽くしたと。なんだか1文字いくらの電報みたいな世界だったんですね。電報の方が古いかっ!

「それと似たような理由で、掲示板などへのマルチポスト(同じ質問や話題を複数の掲示板に投稿する行為)も嫌われていましたね。当時は通信料が高かったので、他のユーザーに対して同じような内容を何度も読ませるのは、金銭的負担を与えるので失礼にあたったんです。また、当時はサーバーのデータ容量も限られていて節約することが正しいことだったので、同じような質問でデータを使うのはもったいなかったんです」

もちろん今でも2ちゃんねるやQAサイトではマルチポストは嫌われていますが、それは「質問したきりで見に来ない」「礼儀がない」など、その理由が昔とは少し異なっているようです。

それはさておき。今やネット接続は速くて安くて、しかもサーバーの容量はほぼ無尽蔵と、以前とは大違いですよね。古参ユーザーとして価値観がひっくり返ったことも多々あるのでは?

「例えばデータに対する感覚がまるで違うのには驚きますね。当時はネット上のサーバーってデータが消えることもあるのが当たり前だったので、Webサイトを公開する時もWebサーバーに上げたデータはあくまでもコピーで、自分のパソコン上で作成したコンテンツのデータをマスター(原本)として大切に保存していたんですよ。それが今やサーバー上にあるデータがマスターで、むしろ自分のパソコンに入ってるデータの方がコピーっていう感覚ですよね。こないだ取材した女の子のブロガーは、自分のパソコンは持っていなくて、ネットカフェや人のパソコンからブログの更新をすべて行っているんですよ。これにはびっくりしましたね」

今やブログをはじめ、mixiの日記や、Gmail、YouTube、Flickr、はたまたオンラインストレージなど、ネット側にデータを置いて、様々な端末からアクセスできるクラウドコンピューティングが当たり前になっていますが、不安定だったネット時代を知る石橋さんからすると信じられないのだとか。

「以前はプロバイダに加入した時にもらえるメールアドレスじゃなくて、ポータルサイトなどで無料で取得できるフリーメールを使ってる人を小馬鹿にする風潮もあったんですが、今やGmailを使わない方が遅れている感じがするくらいでしょ? データをたくさん保存しておく技術よりも、データがいつでもどこでも取り出せる技術の方が重要な時代なんですよね」

とはいえ、それら無料のネットサービスで万が一データが吹っ飛んだとしても、おそらくなんら保証されそうにもないわけで。万全を期すには、昔ながらに自分のパソコンへのバックアップもあわせて行った方がベターといえそうです。

でも、せめて署名や引用あたりは、より円滑にビジネスを進めるため古参ユーザーにも協力してほしいような気がしますが(笑)、いかがでしょうか? お帰りなさいませ、現代へ。
ブロードバンド前史への旅は
いかがでしたか?

ともかく、今は
湯水のごとくブロードバンドが使えて
幸せな時代ってことですねー。

筆者の家のADSLなんか
無線データ通信サービスのオマケで
実質的にタダで使えるんですよ! タダ!

とまあ、今回は古参ネットユーザーの
苦労話や価値観を覗いてみたんですが、
「そんなの甘い!」「昔はこんなに大変だった」
とまだまだ昔話に浸りたいネット長老衆はぜひ
下記応募フォームから苦労話を投稿くださいませ。

まとめて供養させていただきます!

しかし、昔は何もなかったがゆえに
ネット上に無数のフロンティアがあったわけで、
もし10年前に戻れたら、動画投稿サイトなんか
作っちゃうのになー、なんて思いません?

今から始めようとしても
ネットビジネスってまだ何かできるんでしょうか?

というわけで次回「ネットの常識・非常識」では
ネットビジネスってまだ間に合うの?をテーマにベンチャー企業や、
ベンチャーキャピタルを取材してこようかと思います。

てなもんで、また再来週!

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