1時間早く帰るIT仕事術

第10回 発想を広げる正しいブレスト指南!

2009.04.15 WED

1時間早く帰るIT仕事術

前回の「アイデアを絞り出す方法って?」では、
仕事にまつわるさまざまな「アイデア」を
なるべく数多く思いつく方法をレポートしました。

一方で、アイデア出しは一人黙々とやるばかりじゃない。
参加者が大人数になる企画会議をはじめ、
プロジェクトのメンバーが集まってするブレストのように、
人と意見を交わしながらアイデアを練る機会も多くあります。

とはいえ、たくさんの人の前で自分の意見を
思い通りに言うのって、案外難しいもの。
場の空気がやたらとシリアスだったり、
司会役の上司の機嫌が悪かったりしていたら、
とっぴなアイデアなんてとても口にできません。
でも、ブレストってそれでいいんだっけ?

どうやらブレストで効率よくアイデアを出すためには、
参加者が覚えておくべき「作法」があるみたいです。
というわけで今回は、
正しいブレストのルールと実践法を調査してみましたよ。


工夫次第で、ブレスト的な思考はひとりのときにも応用できる。「babooo」は、ブラウザーで使えるオンラインブレスト支援ツール。アイデアを書き出すと、関連するキーワードやニュース、発想のヒントなどがふわふわと漂い、アイデア出しを効率よくサポートしてくれる。最大12人まで参加可能

「ブレスト」で創造的なアイデアを出すコツって?



古くから「三人寄れば文殊の知恵」というけれど、現代のビジネスにおいても、仕事仲間が集まってアイデアを出し合う「ブレイン・ストーミング(ブレスト)」はよく行われる。例えば新しい企画の提案をする前などに、チームのメンバーと「まずはブレストで案を出し合おう!」なんて話になることは多いはず。

そもそもブレストの目的とは、参加者同士で自由にアイデアを出し合い、アイデアの連鎖反応を起こすことで、ひとりでは考えつかないような面白い発想をみんなで絞りだすこと。でも実際にブレストに参加すると、そんなイメージとは裏腹になんだか妙な会議に終始してしまうことが結構ありがちなような?

「ブレストを自由にアイデアを出し合える会議という風に捉えている人は多いのですが、本来のブレストとは集団で行うアイデアの発想技法です。そのため、参加者は一般的な会議やミーティングとは異なる、ブレスト独自のルールを理解しておく必要があるんです」

と語るのは、創造工学の研究者にして、アイデア創造のプロセスを支援するアイデアプラントの代表・石井力重さん。

「ブレストの基本ルールとは、(1)アイデアは質より量を重視すること、(2)自由奔放、突飛な発想を歓迎すること、(3)人のアイデアを転がして便乗すること、(4)人のアイデアを批判しないこと、の4つ。なかでも重要なのが(4)の批判禁止です。これを参加するメンバー全員が徹底していないと、ブレストとは名ばかりの窮屈な会議になってしまうんですよ」

大部分は、ひとりでアイデアを考えるときのコツとよく似てますね。確かに、発言を即座に批判される場だと、思いつきのくだらないアイデアなんかはいいづらくなっちゃいます。

「人間の思考には、批判能力と創造能力を両方同時には発揮しづらいという特徴があります。例えば、誰かが突拍子もないアイデアを口にしたときに『それは不可能だよ、なぜなら~』と批判意見をいってしまうと、どうしても場の空気が批判的なムードになり、自分だけでなくメンバー全員の創造的な思考力も抑圧されてしまうんです」

場の空気がそこまで重要だとは! でも、突拍子もない意見を認めてばかりだと、いつまでたっても現実的なアイデアがまとまらないのでは?

「そこで推奨したいのが、ブレストを『WHAT』と『HOW』の二段階に分けるテクニックです。仮に1時間のブレストなら、最初の30分は一切の批判を禁止にして自由にやりたいアイデア=WHATを出し合う時間にします。そこで出たなかから面白いもの、実現させてみたいものを選び、次の30分はそれをどうやったら実現できるか?=HOWというテーマに絞ってアイデアを交わします。一般的に、多くの経験を積んだベテランはHOWを考えるのが得意ですが、一方でキャリアの少ない新人ほど、突拍子もないWHATを思いついたりします。テーマを二段階に分けることで、どんな立場の人でも得意なスタンスから意見をいいやすくなるんですよ」

うーん、なるほど。このテクニックは、司会進行を務める人次第で、すぐにでも取り入れてもらえそうです。

石井さんいわく、ブレストの成否は参加メンバー全員が創造力を発揮しやすい環境が作れるか否かにかかっているんだとか。ものは試しに、今度のブレストでは場の空気を盛り上げることに注力してみるのもいいかも?
ブレストカードゲーム「ブレスター」。ルールに従ってゲームをするだけでブレストを進めることができ、参加者は正しいブレストのコツを身につけられるというスグレモノ

遊ぶだけでブレストできるカードゲームに挑戦してみた!



成功すればたくさんのアイデアが生まれる「ブレスト」だけど、やれば必ずグッドアイデアが出るワケじゃない。筆者のこれまでの経験でも、ひたすら雑談が続いて後に何も残らなかったり、場の中心人物だけがしゃべりまくるだけだったり、いろいろな失敗パターンがあった。

創造工学を研究しているアイデアプラントの代表・石井力重さんは、よいアイデアが生まれないブレストについてこう語る。

「ブレストの阻害要因としては、(1)評価懸念、(2)発言量の同調、(3)ただ乗り、などがあります。(1)は、他のメンバーから意見を批判されることが不安で、気軽に発言できなくなってしまうこと。(2)は、他の人があまり発言しないために、自分も発言しづらくなってしまうこと。(3)は、自分が貢献しなくとも、他のメンバーががんばって目標達成できるならOK、と考えてしまうことです」

なんとなく思い当たることばかりだけど、じゃあこれらの要因をどうやって取り除けばいいんだろう? と悩んでいたところ、石井さんが面白いツールを紹介してくれた。

その名も「ブレスター」は、ルールに従って遊ぶだけで、自然と活発なブレストができるというカードゲーム。キャッチコピーは「60分間で100個のアイデアが楽しく出せる」と、実に頼もしい。これを使えば、ブレスト慣れしていないメンバーでもいいアイデアが湧き出るかも!? というわけで、R25.jp編集部スタッフ4人に協力してもらい、実際にプレイしてみることに。

ゲームはいたって簡単で、プレイヤーは「批判禁止」「質より量」などのブレストの基本ルールに即した4つの役割のうちひとつを担当し、役割ごとの「役カード」を持つ。カードには、例えば「アイデアを3個いう」「直前に出たアイデアを逆にしてみる」といった指令が書いてあり、プレイヤーはそれに従って、アイデアをいいながらカードを捨てていく。

また、役カードのほかに全員共通のカードもあり、これには「上下を逆さまにしたらどうなるか」というような、発想の転換を促すようなメッセージが書いてある。で、制限時間内に一番多くのカード(とアイデア)を出せた人が勝ちというルール。

議題とするテーマには、説明書でパワープッシュされていた「歯ブラシの寿命を50%伸ばすにはどうすればいいか?」を採用して、早速プレイ開始!
R25.jpスタッフ4名による、ブレスターのプレイ風景。およそ1時間弱のプレイ中、どうしようもない下ネタから、思わず感心してしまうマジな名案まで、100個近いアイデアが絞りだされた
と始めてみたものの、1stステージ(最初の15分)に出たのは、正直微妙なアイデアばかり。「ブラシを超重くして歯磨きを面倒にする!」とか「ブラシを超頑丈な新素材にする!」とか、小学生レベルの意見が激しく応酬される。数が出るのはいい傾向だけど、中身がこれじゃと不安になるが、2ndステージに移った辺りから、みんなの様子が少し変わってきた。

「開いた毛先を戻す装置を開発する」「うがいだけで歯垢を落としやすくする歯磨き液を併用する」など、歯ブラシ自体に固執しないアイデアが登場すると、次第に全員がそれに乗っかるように発想を転換しはじめた。おお、これがアイデアの連鎖反応ってこと!? 最終的には連鎖が暴走し、「食事を1日1食にする」「歯磨きはジョギング中に限る法律を定める」などの強引すぎるアイデアが増えてきたあたりでタイムアップ。それでも、全部で70個近く出たアイデアのうち、5~6個はなるほど! と思わず膝を打つようなグッドアイデアが飛び出した。

参加したメンバーの感想は、「担当する役割次第で、自分の発想がかなり変わる気がした」「強制的に自分の番が回ってくるから大変だけど、いつものブレストより盛り上がった」と好印象。ルールに慣れればもっといいアイデアが絞り出せる、という手応えがあったようだ。

このゲームをやればブレストが必ず上手くいくワケではないにしろ、ブレスト独特のルールに慣れていない人の訓練法としては大いに効果がありそう。興味があったら、身近なチームの面々と一緒に挑戦してみては? 正直なところ、筆者はこれまで
「ブレストのルール」をまったく知らないまま
なんとな~くブレストに参加してました。
よいアイデアを提供するどころか、
むしろ気づかぬうちに場の空気を乱してたかも?

効率よくブレストを進めるためには、
参加メンバー全員が正しくルールを理解していること、
そして積極的に課題を解決する意欲をもっていることが
不可欠といえそうです。
みなさんが次にブレストに参加するとき、
今回の記事を思い返して貰えれば嬉しい限りです。

さて、次のテーマは「交渉力」です。
毎日の仕事量がヘヴィすぎたり、
残業続きになったりするのを回避するには、
さりげなく状況を有利になる「交渉力」が重要なのでは?
というわけで、乞うご期待!

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