50万円で宇宙に行きた~い!

第3回 宇宙でもんじゃ食べたいんですけど!

2009.04.28 TUE

50万円で宇宙に行きた~い!


スペイン出身のアレグリア宇宙飛行士らクルーとともに、特製パエリアを食べる若田光一宇宙飛行士。宇宙でも自国の食事を食べたいと思うのは全世界共通ですな。JAXA・NASA

スペースもんじゃ実現の条件とは?



朝はやっぱりお吸い物にサンマの蒲焼き。めでたい日なら赤飯も食べたい。昼はオシャレにトルティーヤとバナナプディング、食後はコーヒーね。夜はガッツリとステーキにピラフ、グラタン。

なになに? それがどうしたって?

実はね、ここに挙げたメニューはすべて宇宙食なんです。半世紀前はチューブ状だった宇宙食もかなり進化して、現在ではなんと300種類以上のメニューが揃うらしい。その歴史を宇宙航空研究開発機構(JAXA)の有人宇宙飛行士管理グループ・中沢 孝さんに聞いた。

「宇宙開発初期の1960年代初頭、『マーキュリー計画』のロケットは1人乗りのカプセルで、狭い操縦席に座りっぱなしの固定ポジションでした。トイレもなく、排泄物は袋に入れて地球に持ち帰っており、宇宙食には座ったままの状態で調理などの作業をせずに済み、消化吸収率が高くて排泄物が少ないものが求められていました。つまり、ひと口サイズの固形食やチューブ状のものが適していたんです」

当時は宇宙飛行士から「もっと満腹感があるものを食べたい!」と不満の声もあったようだけど、なにしろ宇宙開発初期の時代の話。無重力空間で食べたものがきちんと消化できるかどうかのデータさえなかったため、機能優先の宇宙食にせざるを得なかったというわけだ。

「ドラスチックな進化があったのが、70年代の『スカイラブ計画』時代です。NASAによる初の宇宙ステーションが誕生し、食べ物と代謝についての実験が徹底的に行われました。今ではありえないことですが、豊富な食料と一緒に冷蔵庫まで宇宙へ運ぶ力の入れようだったようです。様々な実験や検証の結果、お湯で戻すフリーズドライ食品やレトルト食品などを宇宙食に取り入れるとともに、徐々にバリエーションが増えていきました。現在ではビーフステーキやチキンサラダ、シュリンプカクテルに乾燥フルーツ、ナッツにクッキーと300種類以上もの宇宙食が存在するんですよ」

宇宙食が進化し、バリエーションが増えていった背景には、宇宙飛行士のストレスを軽減するといった目的があったようだ。確かに僕なんか1週間海外に行くだけで醤油の味が恋しくなります。緊張の連続のなかでも、せめて食事がおいしければ明日への活力につながるってもんです。

そんなわけで、中沢さん。夢叶って50万円で宇宙に行けるようになったあかつきには、宇宙でもんじゃ焼き食べたいんですけどね! もちろん仕上げには青のりとかつお節をぶっかけますよ。えぇ、それはもう盛大にぶっかけまくりですから!

「現在、宇宙食はお湯で戻すか専用のオーブンで温めるかで食べています。もんじゃ焼きもフリーズドライにして持っていけばお湯で戻して食べることができるかもしれませんが、青のりとかつお節をあとからふりかけるのは、ちょっと難しいでしょうね」

フリーズドライじゃイヤなんですけどね。いいです。他の人に頼みますから。
味気ないチューブ状から半世紀かけて300食以上の豊富なメニューへと宇宙食は進化してきたんだから、まだこっそり期待してます。絶対あきらめませんよ!
宇宙でのカレーに喜びを表現する土井隆雄宇宙飛行士。このミッションでふるまわれた宇宙食でいちばん美味しかったのがこのカレーだったとか。JAXA・NASA

宇宙では尿を飲むってマジっすか~!



300食以上の豊富なメニューが揃う宇宙食。さすがに僕の大好きな好きなもんじゃ焼きの宇宙食はないけど、やはり宇宙といえども、自分の好きなものを食べたい心理は地上と一緒。宇宙飛行士って自分の好きな宇宙食を持ち込んでいいんでしょうか? 確か1997年に土井宇宙飛行士がカレーを持ち込んでた気が。

「国際宇宙センター(ISS)で食事をする場合は、宇宙飛行士みんなで同じものを食べる『スタンダードメニュー』が基本です。ただし、個人の食の好みもあるので、NASAが認証した宇宙食のなかから好きなものを選んで持ち込める『プリファレンスフード』や、さらに市販の食品を持ち込む『ボーナスフード』もあります。もちろんボーナスフードとして持ち込めるのは、NASAで厳しい審査をして許可が下りたものに限られますが」と、話してくれたのは宇宙航空研究開発機構(JAXA) 有人宇宙飛行士管理グループ・中沢 孝さん。

そうか、土井さんのカレーはボーナスフードの扱いだったのね。

「実は日本人宇宙飛行士が洋食中心の食事でストレスを感じないよう、JAXAでは2004年から食品メーカーと協力して宇宙日本食を開発してきました。今ではラーメン、さばの味噌煮など28品目があり、カレーもプリファレンスフードとして認証されているんですよ」

なるほど~。やっぱり日本人だから和食も食べたいっスよね。ちなみに、宇宙食の開発では、中国では中華料理を、韓国ではキムチなど、各国が独自の宇宙食を開発しているようだ。やっぱり自国の食文化に合った宇宙食は今後も開発されるんでしょうね。

「ただし、今のところ中国や韓国はISS計画の参加国ではありませんので、それらの食事が食べられるのは自国の計画で飛ばした宇宙船内に限られます。ISSに参加している欧州宇宙機関(ESA)も独自に宇宙食を開発していますが、あくまでボーナスフードとしての扱いで、船内での特別なディナーパーティーなどに出されるイベント用のもの。NASAの正式な認定を受けているのはアメリカの約200食、ロシアの約100食、日本の28食だけなんです」

つまりロシア、アメリカを除けばISSで食べられる宇宙食を作っているのは日本だけってこと。これは世界に誇る日本食の素晴らしさを知ってもらうチャンスかもしれない。
ところで素朴な疑問なんですが、宇宙では飲み水ってどうしてるんですかね?

「飲み水はこれまで水素と酸素を化学反応させて作ったり、ロシアの使い捨て無人貨物輸送宇宙船(プログレス)を使って地球から運んだりしていましたが、今回の若田宇宙飛行士の長期滞在からは新しい技術を導入して、尿をリサイクルして飲み水にしています。システム的にはISSのトイレで集めた尿を蒸留して水に変えてから、さらにろ過・蒸留して飲み水を作っているんです」

尿とな! しかも、みんなから集めた尿とな!
うーん、理屈ではわかっていても、受け入れるのに心の準備が必要になりそうです。

とはいえ、すでに各国で食文化の違いが話題になるほどバリエーション豊かになった宇宙食。この調子なら、もんじゃ焼きの宇宙食が実現するのもあながち夢じゃない? 宇宙日本食の29品目目はぜひ、もんじゃ焼きでお願いします! ファミレスもびっくりな多彩なメニューが揃うようになった宇宙食。
今後、宇宙での生活がより長期的なものになり、
居住空間も広がれば、フリーズドライやレトルトとは違う、
宇宙調理法が誕生する日もやってくるのでしょうか?

そうなれば、もんじゃ焼きだけじゃなく、
フライパン振って八宝菜とか作れる?

う~ん、なんか想像できないけど、
そんな時代が来るのを待ってます!

次回では最新の宇宙食を試食しつつ、
今後の宇宙食の可能性に迫ります。

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