50万円で宇宙に行きた~い!

第5回 宇宙ホテルはもう完成していた!?

2009.06.02 TUE

50万円で宇宙に行きた~い!


2012年完成予定の宇宙ホテル「ノーチラス」。旅費は未公表だが、ISSに宿泊するオービタル旅行(約35億円)の約半額になるといわれている。画像提供:ビゲロウ・エアロスペース社

宇宙ホテルが35億円から半額にプライスダウン!?



素朴な疑問ですが、宇宙に行くだけでも大変なのに、どうやって宇宙にホテルを作るんですかね。宇宙に建築業者を連れて行くの? セメントは宇宙で固まるの? ホテルマンやポーターは? っていうか、そもそも宇宙ホテルってどんな形? すべてが謎です。そこで、『来週、宇宙に行ってきます』の著者で宇宙ビジネスコンサルタントの大貫美鈴さんに話をうかがいました。

「今、宇宙ホテルの開発を唯一進めているのはラスベガスのホテル王ロバート・ビゲロウ氏が設立した『ビゲロウ・エアロスペース社』です。ビゲロウ社は2002年にNASAから居住モジュール開発の技術を購入し、それを改良して宇宙ホテルを開発しています。ユニークなのは、この宇宙ホテルが膨張式なことです。ロケットで飛ばすときは小さく折りたたみ、宇宙で膨らませる。約1/3スケールの試験用ですが、現在すでに2機の無人居住モジュールが、地球上空約550kmの軌道を飛んでいます」

う~ん、僕の知らぬ間にすでに2つもホテル試験機が宇宙に飛んでいたとは。ところで、民間の企業が勝手に宇宙にホテルを作ってもいいんですかね?

「宇宙ホテルをアメリカから打ち上げる場合、商業宇宙活動に認可を出している『米連邦航空商業局宇宙輸送部(FAA/AST)』の認可を取ります。ロケットが効率的に打ち上げられる傾斜角への建設や安全の面から宇宙デブリ(宇宙ゴミ)が少ない500Km以下の地球軌道ということで場所は決まってきますが、今のところ規定はないのでどこでもOKなのです。アメリカ以外の国が宇宙ホテルを建設する場合も、現状では建設場所に認可はいらず早い者勝ちといえるかも知れません」

ということは、宇宙ホテルはどこに作ってもいいってこと? 将来、宇宙空間利用で問題が起こらないことを切望します。
こちらがすでに宇宙に飛んでいる宇宙ホテルの試験機「ジェネシス1」。地上から確認できることもあるのだとか。画像提供:ビゲロウ・エアロスペース社
ちなみに、完成版となる宇宙ホテル「ノーチラス」は2012年にサービス開始予定、折りたたみ式居住モジュールを連結させたもので、ラウンジや個室、ダイニングなどが用意される予定だとか。

「宇宙ホテルの最大の魅力はラウンジで地球をゆったりと眺めたり、音楽を聴いたり、食事をしたり、無重力という究極の非日常を、時間を気にせず楽しめるこ とです。また、宇宙ホテルは地球を90分で回るので、45分ごとに夜明けと日没が訪れます。ホテルマンやポーターはたぶん人手が少ないから1人の人間 が行うのでは?」

そんな頻繁に太陽が昇ったり沈んだりしたら、地球での生活様式なんてぶっ飛んじゃうかも。あ~宇宙ホテルにチェック・インしてぇ~。50万円で。あの気になるお値段は?

「まず、国際宇宙ステーション(ISS)に1週間滞在するオービタル旅行がすでに実現していますが、こちらで35億円以上かかります。一方のビゲロウ社の宇宙ホテルは、約1週間滞在するプランで、ISSの半額になるといわれています」

ってことは、少なく見積もっても17億円ぐらい!?

「たとえ宇宙に行くための新しい宇宙輸送機が開発されて価格が下がったとしても、輸送コストだけで20億円近くかかるといわれています。ビゲロウ社の場合は旅行代金にホテル代は含まれていなくて、輸送費のコスト=宇宙旅行代という考え方です」

でも、それだと赤字にならないんですかね?

「ビゲロウ社は自国で宇宙開発を進めていない国や、ISS計画に参加していなくて宇宙に拠点を持たない国などに、宇宙ホテルを実験施設として提供することで利益を生もうとしています」

なるほど。確かにウン十億円払える人なんて地球上にそうはいない。個人を相手にするんじゃなく、国や企業を相手にビジネスをするのね。

「ISSは政府のプログラムですが、民間の宇宙ホテルは地上と同じ商業開発です。宇宙での仕事場としての宇宙ステーションと宇宙旅行のための宇宙ホテルで は、求められるものが根本的に違います。民間の宇宙ホテルには安全性や信頼性はもちろん、自分のお金で宇宙に行く宇宙旅行客を迎えるにふさわしい快適性 や、バラエティある施設やサービスが求められると思います」

なるほど。民間が作った宇宙ホテルなら旅行費用が半分になることもありうるし、宇宙にもエンターテイメント性が求められるかも。地上と同じビジネスマインドが、宇宙開発を躍進させる起爆剤になったらいいんですけど。
ユニークな窓を配置した「居住モジュール」。マジックテープ付きのスーツを着用し、壁にくっついたり、横たわることができるとか。画像提供:ギャラクティック・スイート社

宇宙スパにウエディング衣食住遊の宇宙ビジネス花盛り!?



すでに、アメリカの「ビゲロウ・エアロスペース社」によって、2つの宇宙ホテルの試験機が宇宙を飛んでいます。一方、サービス面やアミューズメント性で注目されている別の宇宙ホテル計画もあります。それが、リゾート開発設計者として世界的に有名なスペイン・バルセロナの建築家、ザビエル・クララムント氏が2007年に設立した『ギャラクティック・スイート社』が計画中の「宇宙リゾート」。

人類が生み出す宇宙の楽園とはいかなるものか? 『来週、宇宙に行ってきます』の著者で宇宙ビジネスコンサルタントの大貫美鈴さんに聞いてみた。

「地球上空約450km上空に浮かぶ宇宙リゾートは、ラグジュアリーな空間で贅沢な体験をトコトン楽しむことをコンセプトにしています。この宇宙リゾートは5つの居住スペースに分かれますが、ユニークなのはエクササイズ機器や宇宙スパが楽しめる『レクリエーションモジュール』。宇宙では、水は球体になって漂います。この宇宙スパは直径2mの透明のアクリル球の中に20Lの水を浮かべ、その中に人間が入るというもの。無重力空間で浮かぶ大きな水の球体を見てみてみたいと思いませんか? その中に体を浮かべることができるなんて想像しただけでわくわくします! ちなみに、地球から宇宙に水を持っていくには現在の輸送費で、1L約300万円かかるといわれてますから、宇宙スパは究極の贅沢ですね」

スパリゾートが宇宙で楽しめるなんて! 地上では決して体験できない、宇宙ならではの摩訶不思議な次世代スパ。あ~体験してぇ~。でも、問題は価格ですよ。

「4日間のバカンスで旅行代金は約3億6000万円。ただし、別途ロケットのコストが入ります」

う~ん。宿泊費のみでこの価格宇宙に行くだけで20億円近くかかるといわれているから、高額な足代は別請求なのね現地集合とか絶対に無理ですからっ! ところで、サービス実現はいつごろでしょう?

「2013年を目指していますが、実はギャラクティック・スイート社は規模の小さなクリエイター集団の会社で、宇宙リゾートを開発できるだけの資金は持っていません。すでに第一ステップとして数億円の資金調達が完了して計画が発表されたので、次は百億円単位の資金を調達して開発を進めるつもりです。ですから、現状では試験用のホテルも飛んでいません」
これが構想中の宇宙スパだ。球体のアクリルの中で、水と自由にたわむれる。果たして実現なるか? 画像提供:ギャラクティック・スイート社
期待させておいて、まだそんな状態!? 2013年完成なんて間に合うのかね? しかし、今後民間による宇宙ホテルや宇宙事業が進むことで、それに派生する様々な宇宙ビジネスには大きな期待ができる。

「例えば、宇宙ホテルでウエディングを企画すれば衣装やお花、アクセサリーも宇宙用のニーズが生まれます。もちろんハネムーンもありますし、宇宙用のインテリアや照明だって考えられますよね。各国の新商品の発表をするビジネス・ショーや無重力でのスポーツイベントなど、エンターテインメント性のあるビジネスも考えられます」

宇宙でウエディングなんて超ロマンチック! 宇宙ハネムーンとなれば、もちろん初夜は宇宙。生まれてきた子はスペースベイベーってそれカッコ良すぎ! でも、宇宙リゾートも含めて実現するのは随分先の話っぽいですよね。

「現在、若田光一宇宙飛行士が日本人としては初めて宇宙に長期滞在していますが、宇宙における衣食住遊はすでに行われていますし、宇宙に参入する機会も増えて います。宇宙ホテルが完成して開業すれば、もっと宇宙産業市場は広がると期待できます。地上で必要なものは宇宙でも必要ですし、地上で面白いことは宇宙で はもっと面白くなるかもしれません。ですから、いろんなアイデアや構想が宇宙ビジネスを切り開いていくと思います」

民間による宇宙ホテル開業こそが、宇宙ビジネス躍進の突破口となるのかも。そのためには、たとえ絵空事であっても宇宙空間を活用したユニークなアイデアや構想が必須。さらに、 ちゃんと書面などにして形にしておけば、後に開発が進んだときに自分のアイデアだと主張できる可能性もあるかも。

ってことは、僕にも宇宙ビジネスのチャンスあり?
例えば、宇宙マン喫とかっ! 取材前は宇宙ホテルや宇宙スパなんて、
アイデアだけの絵空事では? と思っていました。
でも、実際に開発が進んでいるものもあるし、
たとえ絵空事でもユニークなアイデアやコンテンツを提案・発表すれば、
新たなビジネスにつながる可能性があるんだなぁと。

ちなみに、5gの位牌を宇宙へ飛ばす「宇宙葬」はすでに実現しています。
過去に行ったときは70万円前後だったので、今後はもっと価格が下がるとか。
ってことはですよ、僕が死んで位牌になれば50万円で宇宙に行けるかも。
って笑えない!

次回はこれまでタブーとされた、
宇宙でのアノ話(性的な意味で)をレポート!
アノ話の何が知りたいかのコメントを募集しています!

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