50万円で宇宙に行きた~い!

第8回 ビッグバン説はウソだった!?

2009.07.14 TUE

50万円で宇宙に行きた~い!

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いっそ宇宙船の中で重力空間をつくってしまえばいいのにーとか思いました。
そうゆうことはできないのですかね? むしろその方が快適なんじゃ。
投稿者:ねこーさん (女性/23歳/千葉県)

実は第3回の「もんじゃ焼き」や第5回の「宇宙ホテル」のときにも
人工重力に関する同じような質問がありました。

さっそく調べてみると、すでに1950年代からリング状の宇宙ステーションを
コマのように回転させて人工重力を発生させるという構想はあったけど、
まだ実現はしていません。

また、以前に国際宇宙ステーションに人工重力を発生させる実験モジュールを
取り付ける計画があったけど、こちらもキャンセルに。
今のところ、人工重力は実現していないようですな。

さて、今回は目もくらむような宇宙の不思議をレポートします。

宇宙生誕と聞けば、ビッグバンが頭に浮かぶ人も多いはず。
ところが今や、ビッグバン理論の先をゆく説が登場しているらしい。
さらに、僕らが暮らす宇宙のほかに子宇宙、孫宇宙と、
まったく別の宇宙が存在するという説があるとかないとか。

えー、まったく理解できません。
ボクたちの宇宙以外にほかの宇宙も存在する可能性がある! しかしそれを認識することはできない…考えだすと眠れません! NASA,ESA,and The Hubble Heritage Team (STScI)

宇宙の始まりにはビッグバンより前がある?



驚くことに、今や「宇宙生誕の瞬間はビッグバンじゃない」というのが定説のようです。では、そもそもビッグバンとはなんぞや? アニメ中心の我が知識によると、宇宙の始まりは膨大なエネルギーが大爆発して、元気玉みたいなノリでオラにパワーをくれってな感じになってあれ? なんだっけ。ビッグバン理論では説明できない宇宙の問題を解明した、明星大学、東京大学数物連携宇宙研究機構の佐藤勝彦先生に聞きましょう。先生! サルでもわかるレベルで、一丁説明願います!

「これまでのビッグバン理論では、宇宙の始まりは超高温・超高密度で光に満ちた『火の玉』のようなものが爆発的に膨張し、広大な宇宙ができあがったとされていました。では、その火の玉とは何か? ビッグバン理論では、1点に無限大のエネルギーが集中した状態ということになっています。しかし、『無限大』は物理学で説明することができず、理論的に破たんしてしまいます。そのため、これまで火の玉が生まれた理由は神の仕事として片づけられてきました。しかし理論物理学者としては、そこもきちんと説明したいわけです」

なるほど。よくわからんからひとまずペンディングってことだったんですね。ボクも得意ですよ、それ。えへへへ。

「とはいえ、ビッグバンが起こったことは、ほぼ間違いありません。問題はなぜビッグバンが起こったのかということ。それを説明するのが『インフレーション理論』です。この理論は、実はビッグバンよりも前にインフレーションという膨張があったというものです」

つまり、ビッグバンの前に違う膨張があったってこと?

「宇宙の始まりでは、時間も空間もエネルギーもない無の状態に突然、10のマイナス33乗cmと、素粒子にも満たないサイズの宇宙構造の種が出現したんです。その種がなんらかのきっかけでインフレーション(急膨張)を起こし、やがて1cmを超えた時点で膨張にストップがかかり、急激に冷却された真空エネルギーは熱エネルギーに転化され、大爆発(ビッグバン)を起こした。これがインフレーション理論の考え方です」
「インフレーション理論」では宇宙が急膨張したあとにビッグバンが起こる。1992年にアメリカの宇宙背景放射探査衛星「COBE」がとらえた宇宙初期の姿に、インフレーションの証拠が発見されている。 画像提供:佐藤勝彦
時間も空間もエネルギーもない「無」から突然、宇宙が始まった。無ってなんですか、無って!

「一般的に無とは何もない状態を指しますが、実は物理学的には完全な無は存在しません。どれほど物理的にエネルギーを抜いても、そこにはわずかな『ゆらぎ (振動)』が残ります。仮にここに無の状態があるとすれば、そこには空間も時間もエネルギーもないはずです。ところが、実際には『トンネル効果(極端に薄いエネルギーの壁を、それより低いエネルギーを持った粒子が通り抜ける、ミクロの世界で起こる現象)』というものによって、突然空間が現れては次の瞬間には消えてしまうといった現象が起こります。このゆらぎの状態から突然パッと宇宙構造の種が出現し、インフレーションとビッグバンが起こったというわけです。
そして、我々の宇宙はこのトンネル効果によって生まれた無数の宇宙のなかのひとつにすぎません。これが宇宙の始まりに関する現段階での結論です」

この「インフレーション理論」は、ビッグバン理論の様々な矛盾を解消することができるため、今や世界的に定説となっているのだとか。先生、なんだかわかりかけてきましたよ! つまり宇宙はビッグバンバンってことですね!

後半ではさらに頭がクラクラしそうな、多重宇宙の世界をレポートします!
がんばれ、オレ!
親宇宙からポコンと子宇宙が生まれ、さらに子宇宙から孫宇宙、ひ孫宇宙へと…。宇宙は大家族? イラスト/鈴木麻子

親宇宙に子宇宙、孫宇宙…宇宙は“大家族”だった!?



宇宙の始まりといえばビッグバンを想像しますが、実はビッグバンの前に極小の粒「宇宙構造の種」が急膨張(インフレーション)を起こし、その後にビッグバンが起こったというのが現在の定説。この「インフレーション理論」では、さらにもうひとつ驚くべき宇宙像を示しているのです。
それは。

宇宙はひとつではなく、いくつもの宇宙が存在する。

うーん、宇宙がいくつもあるってどういうこと? もうひとりの自分がいるパラレルワールド? 四角い地球があったりするのか? 頭クラクラ。そこで、『宇宙はわれわれの宇宙だけではなかった』の著者であり明星大学、東京大学数物連携宇宙研究機構の佐藤勝彦先生に話を聞いてみた。

「宇宙を英語にすると『ユニバース』で、ユニとは『ひとつの』という意味を持ちます。これまで宇宙はひとつしかないと考えられていたので、宇宙を表現する英語はユニバースでした。しかし、近年は宇宙そのものが無数に存在する『マルチバース(多宇宙)』という言葉が研究者のあいだで多用されています」

ちょっと待った。ということは、いくつもの宇宙を包むような、さらに大きな空間が存在してるってことですか?

「そういうことになります。多宇宙モデルを示す理論はこれまでにいくつも提唱されています。例えば、インフレーションは現在も続いており、その過程の様々な場所でビッグバンが起こっているという考え方。また、そもそもインフレーション自体がたくさん起こっていて、そこからいろんな宇宙が生まれているという考え方。こうした、宇宙が多重に発生している概念をまとめてマルチバースと呼んでいるんです」

どうやら最新の宇宙物理学では、多宇宙を前提に研究が進んでいることは間違いないみたい。

「私は、宇宙はブクブクと広がっていく泡のようなものと考えています。ひとつの泡から小さな泡(子ども宇宙)が生まれ、さらにその子ども宇宙から孫宇宙、ひ孫宇宙と宇宙が多重に発生していくというものです。面白いのは、それぞれの宇宙では我々の宇宙とは物理法則がまったく異なる可能性があるということです。例えば電気や磁力がない世界ということもありえます」

これらマルチバースの理論は、「相対論」と「統一理論」という現代物理の基本理論が組み合わされることで導き出されたもので、単なる憶測でも妄想でもない。
で、いずれは、その物理法則がまったく異なるというお隣の子宇宙や孫宇宙に行くことができるようになるんですかね? できれば50万円以内におさめたいんですけど。

「残念ながらそれはできません。親宇宙と子宇宙は物理的なつながりも、因果関係も、完全にないんです。宇宙が多数あることは理解できても、我々の宇宙の生物にはそれらを認識することはできないでしょう」

う~ん、なんだか鳥肌が立ってきました。現在ではもちろん、どの多宇宙モデルが正しいのかはわかっていない。でもきっと何十年か、何百年か先には、かつての天動説のように、この多宇宙論争も決着しているハズ。あー! 答えを知りたい! 今回は、宇宙誕生の謎と多重発生する宇宙という、
途方もなく不思議な世界をレポートしました。

いや、しょーもない感想ですけど、
宇宙物理学者ってホントすごいですね。
すべてを理解できたとは言えませんが、
話を聞いていてこんなにワクワクした経験は
ほかにありません。

次回からもSFチックな謎に体当たりでぶつかります!
気になることがあればお便りプリーズ!

バカバカしいネタでも全然オッケー!

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