50万円で宇宙に行きた~い!

第10回 富野監督、アムロになれます? 僕は!

2009.08.11 TUE

50万円で宇宙に行きた~い!


共鳴し合うアムロとララァ。宇宙で認識力が拡大すれば互いの姿が見え、会話だってできるのです! キュピーン! 創通・サンライズ

ガンダム生みの親、富野由悠季が断言!人はニュータイプにならざるを得ない



「結論からいうと、人類は間違いなくニュタイプになれます!」

富野監督は確かにそう断言した。富野監督とはアニメ『機動戦士ガンダム』の生みの親であり、原作者である富野由悠季さんである。それにしてもインタビューののっけから、ものすごいプレッシャーだ!

「はっきりした論拠があります。人間の感性・感覚というものは環境によって支配されていますし、環境に適応しようとするクセを持っています。宇宙に行った場合、無重力の感覚をDNAが感知するわけで、DNAの組み替えが行われます。環境が決定的に変わるから、ニュータイプにならざるをえません」

ニュータイプとは『機動戦士ガンダム』に登場する概念で、人が宇宙まで生活圏を広げた時に、潜在能力が引き出されて新たな可能性を持った人類が現れるというもの。ニュータイプである主人公のアムロ・レイは、モビルスーツの操縦能力に優れていたり、離れている相手の意識を感知したり、額のあたりが「キュピーン」となって敵の攻撃をよけたりと、常人離れした能力を発揮する。ガンダム世界においてこのニュータイプと旧来のオールドタイプ(=我々のようなフツーの人ね)の対比は重要なテーマのひとつなのだ。
えーと、それにしても、DNAが感知って。あれですか? 宇宙に行けば、「キュピーン」ってなって、モビルスーツをブンブン操ることができるってことですよね?

「違うよ! 宇宙に出て丸い地球があるというのを見る。それから地球儀には国境線が書いてあるけど、そんなものはどこにも書いてないぞと認識する。そうすると、いままでの既成概念や常識が全部くつがえされ、完全に『えっ!』となって、まったく別の考え方をしなきゃいけない。いま言った、『えっ!』というのが『えっ!』でない部分で物を考えていく人のことを、僕はニュータイプと思っています」

えっ! が、えっ! って。えぇっ!?
あの~、つまりどうすればニュータイプになって、僕がガンダムをいちばんうまく使うことができるんですかね。

「どうも一般に流布しているニュータイプの概念は、超能力者や神がかり的なイメージがあるけど、そうじゃない。認識論が拡大していけば、地球の裏側にいるヤツがなにを考えているかぐらい分かるってことですよ」

いやいや、いくらなんでも地球の裏側の人の考えてることは分からないでしょ~。南米ですよ、監督。

「どうして? 例えば、物事をすごくニュートラルに考えることができるヤツがいたら、『そいつの言っていることはこうだろうね』とか『ああいう行動様式をとるやつはこうだろうね』とか、ひと言聞いただけで分かるじゃないですか。それはかなり遠感知能力に近い。それが分からないから、普通の人は結婚しても離婚するんです!」

あの、離婚するとは限らないと思うんですけど。でも監督の言ってることはなんとなく分かるような気がします。自分の彼女が何を考えてるのかさえ分からない僕はオールドタイプなんでしょうね。えぇ、分かってますよ。

「だから目の前にいてセックスまでやってる相手のことが分かってないんだよ! いま目の前で一緒に暮らしているのに、相手がどんなキャラクターで、どういう価値観で、何が好きかってことが分かってない。セックスだけやってたりするわけ。それはものすごくおかしいのに、そのことをおかしいと言わない。なぜか? みんな努力したくないからだ。離婚は当然するもんだと思っていれば、努力して共同の家庭を作っていくなんてことしないで済むわけ。それは全部ラクをしたいから。この部分を取っ払うだけで、かなりのことが理解し合える。ダメな夫婦は外から見ても分かるじゃん。ってことは、認識力を広く持った人との関係性を自分が理解できたら、地球の裏側にいるヤツの考えていることぐらい分かるだろ!」

つまりニュータイプとは、相手に対する認識&理解力が進化した人間。キュピーン! 見えました、監督! ニュータイプは離婚しないってことですね!

「違うよ! ただね、富野的にはあらゆる科学技術を導入しても、宇宙で人は住めないという結論に至りました」

ちょ! なに、結局、人類は宇宙に移住できないんですか!?

「宇宙に人は住めないという前提を見据えたからこそ、ゆるやかなニュータイプ論が生まれたんです」

新たなニュータイプ論!?
それはつまりニューニュータイプってことですね、監督!
この美しい地球を存続する認識論が新たなニュータイプ論の核となる? 富野ガンダムの次回作、ぜひ実現を! 創通・サンライズ

富野ガンダム次回作は、地球存続をかけたエコ・ガンダム!?



人類が生活圏を宇宙に広げて丸い地球をこの目で見ることができれば、認識力が高まりニュータイプへと覚醒する。これが『機動戦士ガンダム』の生みの親、富野由悠季監督によるニュータイプの概念だ。

ところが近年、「富野的には過酷な宇宙に人類が生存するのは不可能」という結論に達しちゃったらしい。えー、住めないの~? 宇宙。ガックシ。

「ガンダムの世界では、増え過ぎた人口問題を解決するために人類は宇宙に進出します。しかし、現実問題として過酷な宇宙環境で、何世代も暮らしていくだけの水と空気を作ることができるのか? たとえそれができたとしても、人が暮らしていくうえで必要な生活用品を作る資源まで考えたら、宇宙で暮らすことはとうてい不可能です」

う~ん宇宙に人が住めないなら、やっぱりニュータイプは夢物語?

「僕はガンダムという作品を作って宇宙と人との関係性をイヤでも考えるようになった。でも、これまでニュータイプをちゃんと概念にすることができなかったのね。それが、宇宙に人なんて住めるわけないと見据えたときに、環境問題がニュータイプのキーワードになると思ったんです」

また分からなくなってきました。つまり、地球に優しいエコ・ガンダム的な?

「宇宙に進出できない以上、人類は地球上で存続せざるを得ない。ただしエネルギーや環境問題を考えた場合、このままでは地球はもちません。今後、地球を1000年、2000年と存続するためには、地球上でという条件付きで、新たな認識力を持つゆるやかなニュータイプが生まれるんです。いいですか、簡単な言い方をしますよ。ゆるやかなニュータイプとは例えば日本列島の人間を1億人殺さないといけないんだよ。そうだよねって認識できる人たちのことです」

コ、コロニー落としちゃうとか!? ダメ、そんなの! ニュータイプは人殺しの道具じゃないから!

「いまの言い方をSFやアニメ的にとらえると大量虐殺になるけど、ちょっと違う。これから40~50年かけて人口を減らしていけばいいんですよ。必要以上の延命対策をせずにね。それだけのことですよ。それが地球を守ること。論拠もあります。日本の人口はおよそ1億2800万人ぐらいだけど、江戸時代末期の人口って2600万人ぐらい。この規模なら国家や文化はすたれない。1億人という余剰の人口を増やすことで、いまの環境問題が膨らんでいったんだから、人口を減らすことがいちばんの解決法ですよ。世界中がその論点に立てば、エネルギーを無駄に使わないようにアピールするよりも話が早い。この考え方を常識にすることができたら、それはニュータイプですよ」

もうちょっと人に優しいやり方ないですかね? ほら、アムロだって「人間の知恵はそんなものだって乗り越えられる」って言ってたし。

「いまの日本は右肩上がりしか国家の繁栄がないと思っている。でも現在の国家の繁栄なんてどうでもいいんです。これからは1000年単位で国家を考えないといけない。そのためには、日本のような恵まれた地域は経済的に繁栄させないようにコントロールする必要がある。ただ、1億人死んでも国家が疲弊してはいけない。経済が縮小していく過程で貧しくはならない。その経済論もニュータイプ論なんです」

確かにこれ以上繁栄させないようにすれば、人類そのものの延命にはなるかもしれないけどねぇ。

「富野的に好きな言い方をすれば、100人の美女がいるハーレムがあって、100人と毎日うまくやっていけるのかって! どう考えても飽きるはずなのね。絶対に気持ちよくないはず。要するに、我々はあらゆる能力を享受するための手足の長さを持っていない。そこがとても大切なんです」

うそ、気持ちよくないの!? って思う僕はやっぱりオールドタイプ確定ですね。人間、ほどほどがいちばんってことでしょうか。

「僕はニュータイプが夢物語ではなく、現実の問題になっていくと考えています。もしも死ぬまでに新作を作らせていただけるなら、地球の環境問題をリアルに考えるメッセージを込めたい。ガンダムという作品のためにニュータイプが出てくるんじゃなくて、地球を存続させるために、ガンダムでニュータイプ論を世に広めていきたいんです」

いただきました! 新作構想のハナシ!
そして、ようやく分かりましたよ。
監督、あなたがニュータイプです! とんでもない人でした、富野監督。

オールドタイプの自分、御大のニュータイプ論に正直、
ついていけないところがあったのですが、
御歳67にして、この過激! 覇気!
そしてインタビュアーに襲いかかるプレッシャー!

この人が存在する限り、きっとガンダム人気が衰える
なんてことはないだろうなと確信しました。
そして今後はどんな作品を手掛けていくのか、
期待してますよ、監督!

次回もSFチックな謎に体当たりでぶつかります。
気になることがあればお便りプリーズ!

バカバカしいネタでも全然オッケー!

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