50万円で宇宙に行きた~い!

第11回 ブラックホールに吸われてみたよ!

2009.08.25 TUE

50万円で宇宙に行きた~い!

---------
宇宙に関しては、これからブラックホールの事も気になるので。興味深いですね。投稿者:KAMEさん (男性/33歳/埼玉県)

はいはい、やりますよ~ブラックホールの不思議!
ブラックホールの中に入るとどうなるんすかね?

すべての細胞が一瞬で崩壊して、体が分解しちゃったり?
空間が曲がり、体が無限の層にわかれていくとか?
ダリの絵画みたいなわけの分からない異世界に出てくる?

どうなんすかね、実際。
宇宙に空いた謎の穴、ブラックホール。そこには空間や光すらねじ曲げるスゲー重力が…怖っ! 出典/Author: Ute Kraus (background Milky Way panorama: Axel Mellinger) Institute: physics education group (Kraus), Universitt Hildesheim

半径9mmに地球が集中すればはい、ブラックホールの完成



なんでも飲み込み、入ったら二度と出ることができない、宇宙でもっともヤバい存在ブラックホール。今回は宇宙の謎の大トロともいえるブラックホールの謎に迫ります! さっそく、『ブラックホール宇宙』の著者である、大阪教育大学の福江純教授に話を伺ってみました。

「ブラックホールは膨大な重力が1点に集まったもので、あまりに重力が強すぎるため、時空や光を曲げてしまうんです。地球1個分の質量(6000000000兆トン)が、半径9mmの球に集中していることを想像してください。それぐらいブラックホールは高密度なんです」

小指の先に地球が! やっぱりブラックホール、ヤバい。
ところで、時空を曲げるっていったい?

「通常、光は直進しますが、これは光には最短経路で進む性質があるからです。しかし、ブラックホール周辺では、光は直進することができず曲がってしまう。質量がないはずの光をなぜ重力で曲げることができるのかというと、重力が空間自体を曲げてしまっているからです。光は真っすぐ進んでいるつもりでも、外から見ると曲がって見えるのです。仮にブラックホールの中から外に向けて光を放っても、中心方向に曲げる力の方が大きく、光はブラックホールから脱出できず、中心に戻ってしまいます」

空間ごとゆがめるなんて人間が入ったらちょっとヤバいカタチになるかも。そもそもブラックホールはなぜ誕生するんですかね?

「ブラックホールは非常に重い星(太陽の8倍以上の重さ)が爆発した後に誕生します。星の命は太く短く、細く長くです。重い星ほどたくさんのエネルギーを使って光り輝く(熱エネルギーをつくる)ので、そのぶん燃費が悪く、数百万年ぐらいで燃料を使い果たしてしまいます。星の状態が安定しているのは、熱による膨張と重力が釣り合っているからで、エネルギーを使い果たした星はバランスを失い爆発してしまいます。その時、星の表面は飛び散りますが、中心核は爆発の反作用などの影響で非常に高密度になり、圧縮されて縮んでいきます。物を圧縮すると、重力が大きくなるので、星は自分の重力に耐えきれなくなり、中心に向かって崩壊し始める。こうなると歯止めがきかなくなり、倍々ゲームで重力が増え続けた結果、ある時点でブラックホールが誕生します。ブラックホールが別名重力崩壊星といわれるのはそのためです」

なるほどなんだか分かってきましたよ。オニギリを握り倒せば、いつかはブラックホールができるんですね! でも、ホントにブラックホールはあるんですかね?

「ブラックホールはアインシュタインの相対性理論から導き出されたものですが、すでに50個ほどの存在が確認されています。それも確認されているだけなので、実際は少なく見積もっても約1000万個のブラックホールが銀河系にあるでしょう。しかも、各銀河の中心にはとてつもなく巨大なモンスターブラックホールが存在します。我々がいる天の川銀河の中心にもいて座A*という、太陽の370万倍もの質量を持つ、半径2000万kmのブラックホールがありますよ」

う~ん、宇宙アブねぇ。
そんなにブラックホールがあったら、いつか宇宙を自由に行き来できるようになった時に吸い込まれることも。ならば、思い切って自分から吸い込まれてみますか!
ブラックホールに入る時は、吸い寄せられる方向に向かって引き伸ばされ、側面は縮められる。キミも斬新な突入にチャレンジだ! イラスト/鈴木麻子

ブラックホールに入っても中心にたどり着くまで生きている!?



時間や空間、光すらねじ曲げ、なんでも吸い込むブラックホール。その正体は、爆発した星の残骸の重力が、ビンビンMAXになったものだ。で、実際、ブラックホールの中に入ったらどうなるんスかね? 『ブラックホール宇宙』の著者である、大阪教育大学の福江純教授に、僕がブラックホールに入った場合の変化をシミュレーションしてもらいました。

「例えば、半径30kmの一般的な大きさのブラックホールに近づいてみましょう。まず、ブラックホールの半径の3倍(90km)まで近づいた時点で、どんな物体でも重力に引かれて引き返せなくなります」

おおっ! ブラックホールに吸い寄せられて落ちていきます。
い、痛い! 全身がいだいよ! それに熱い!

「実は、通常の大きさのブラックホールだと、近くまで行くと潮の満ち引きと同じように重力源に近い方と遠い方を引き伸ばす力(潮汐力)が強く働きます。体は落ちる方向に引き伸ばされ、側面は縮められ、ブラックホールに入る前に引き裂かれてしまいます。もちろん、周りのガスの温度が高ければ焼かれてしまいます」

そ、そ、そんばぁひでぶ!
ひどいじゃないですか先生やっぱりブラックホールには入れないんですか!

「今度は半径3億kmの巨大なブラックホールで、ガスの温度はとりあえずなしにして考えましょう。この場合、潮汐力は小さくなるので、ブラックホールに入ることができます」

おおっ! 体がどんどん引き寄せられて、目の前になんか黒いのが見えます。ついにブラックホールに突入かっ! どうなる、オレ!

「ブラックホールの中心は重力が無限大になった特異点です。ただ、特異点そのものをブラックホールというのではなく、それ以上近づくと光すら引き返せなくなる境界線までがブラックホールと認識されています。その境界線を事象の地平線と呼び、特異点から事象の地平線までがブラックホールの半径です。もしかしたら、特異点にたどり着くまでは生きていられるかもしれません」

あぁ、いま通りましたよ、事象の地平線。前方に真っ暗な球が見えますね。ん? 周りは青い光がいっぱい!

「前方の黒いものが特異点で、周りの青い光はあなたと一緒に吸い込まれている惑星のガスや光です。後ろを振り返ってごらんなさい」

赤い光がいっぱい見えます! あぁ、そうか。あの光はブラックホールの解明に挑んできた科学者たちの魂ですね?

「違います。赤い光はあなたの後に吸い込まれたガスや光です。近づいてくる光は波長が短くなるので青く見え、遠ざかる光は波長が長くなるので赤く見えるんです。これを光のドップラー効果といいます」

ひょえ~、これがブラックホールの中! ああアムロ刻が見える。あっ。

「ついに特異点に到達しましたね。そこは重力が無限大になっているから、実は今の物理学では破たんして扱えません要するによく分かっていないんです。一瞬で体がつぶれるかもしれませんし、どこか別世界へ出られるかもしれません。でも、私にはブラックホールに落ちていくあなたがまだ見えますよ」

え? 僕、もう中に入ってますけど。

「実はブラックホールに落ちる人を観測すると、面白い現象が起こります。アインシュタインの一般相対性理論では、重力が強くなるほど時間はゆっくりと流れます。だからブラックホールに近づくあなたを私が見ていると、だんだんスローモーションになっていくんです」

ウソ! 一瞬で吸い込まれましたよ。

「それは私とあなたとで時間の流れ方の差ができたからです。仮に、あなたが1秒で吸い込まれても、私の時間では100時間や100日かけてゆっくり入っていくように見えるんです。そして、最終的にはブラックホールの手前であなたの体が止まったままの状態で見えます。これはとてつもない重力によって、時間のズレが無限大になってしまったから。ただし、光のことを一緒に考慮すると、実際はブラックホールに近づくと、光が届かなくなってくるので、あなたの体は停止するより前に、赤く暗くなり見えなくなります。時間のズレを無限大にする(止めてしまう)ブラックホールが、別名凍結星といわれているのはそのためです」

空間や光だけでなく、時間すらねじ曲げてしまうとは!
それに物理学が通用しない特異点って!
いつか科学の力でブラックホールの中身が解き明かされる日を期待してます! 子どものころに読んだキン肉マンで、ブラックホールの存在を知りました。
まんま「ブラックホール」という名の超人は全身が真っ黒で、
顔には異次元空間につながる穴がポッカリと空いていました。

要するに、特異点がむき出しってこと?
なんで、ブラックホール自身が吸い込まれないの?
観客がブラックホールの試合を見たら、スローモーションに見えるの?

取材を終えた今、新たな疑問が際限なく浮かんできました。
気になって眠れないっ!

さて、次回はいよいよ最終回!
読者からお便りが多かった謎に挑みます!
まだまだ募集しているので、宇宙で気になることをお便りプリーズ!

バカバカしいネタ大歓迎(むしろそっち)!

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト