宇宙のナゾを解明するシリーズ

第4回 “変な星”に行ってみたよ!

2009.11.17 TUE

宇宙のナゾを解明するシリーズ

宇宙が膨張しているということは、空間が膨張しており、ある銀河と別の銀河の間の距離が増大しているという話を聞きますが、銀河の中のある恒星と別の恒星の間の距離は増大していないのですか、太陽と地球の距離は、日本とブラジルとの距離は、東京と大阪の距離は、酸素分子中の二つの酸素原子間の距離はどうなんでしょう。投稿者:Mさん(男性/57歳/千葉県)

さて、回答です。太陽と地球の場合、膨張する力より互いに引き合う力(万有引力)が強く、互いが離れていくことはない。地球の場合、膨張する力より重力が強いので、日本とブラジル間が離れていくことがないとのことです。分子の世界においてもお互いをつなぎとめる「分子間力」っていうのがあって、酸素原子間の距離が縮まることはないんですって。

今回は宇宙の変な星々へと、ちょっくら旅してこようと思います。
果たしてどんな星に出会えるんでしょうかね?
宇宙鉄道、発車しま~す。
水素ガスでできた木星に地表はない。だからガス惑星。一説には「気球型生物」がいるとかいないとか。イラスト/鈴木麻子

ガスでできた木星に人類は着地できない?



地球のように大気や水がある星などは宇宙のなかでは、超レアケースらしい。この広大な宇宙には、地球とはまったく異なる環境の変な星がたくさん存在するんですな。そこで今回は、そんな変な星たちを旅しちゃおうかと思います。さっそく、明星大学、東京大学数物連携宇宙研究機構の佐藤勝彦先生に、変な星に行ったらどうなるのか、ナビゲートしてもらいました。

「まずは、太陽系のなかから見ていきましょう。太陽から近い位置にある水星、金星、地球、火星の4つは地球型惑星と分類されていて、表面が岩石や砂などでできています。それぞれ大気の濃さや気温、重力などは異なりますが、広大な宇宙のなかでは地球に似た環境といえるでしょう。しかし、さらに太陽から離れた木星や土星になると、星の状態は大きく変わります。これらの星は太陽から受ける重力が弱いため、自らの重力で周囲の微惑星を集めてどんどん巨大化していきました。また、太陽から離れたことで温度が低くなり、水や二酸化炭素などが凍ってしまいます。氷をまとって巨大化した星は大きな重力を持ち、微惑星のほか周囲の水素やヘリウムのガスを吸い寄せ続け、最終的に現在の巨大なガス惑星となったのです」

えーと、素朴な疑問なんですけど、ガス惑星ってことは100%ガス製なんですかね? 地表はないんですかね?

「それを確かめるために、まずは木星に飛び込んでみましょうか」

ヒャッホー! 木星でかっ! でも降りていくに従って、なんだかだんだん寒くなってきましたよ。いや、寒い! チョー寒いよ、先生! 助けてー!

「木星の大気は何層にも重なった氷の層で、気温はマイナス130℃ですから。でも、もうしばらく我慢してください。なにか見えますか?」

降りても降りても一向に地表は見えてきませーん! どこまで落ちるんですかー! あ、でも今度は暖かくなってきました。ってかちょっと熱いですね。あ、熱! 熱いよ、先生! 助けてー!

「木星の主成分は水素ガスで、地球のような固い地面はありません。雲の中を降りていくように、どんどん中心部へ向かって落ちていくはずです。木星は中心部に向かうほど温度と圧力が上がります。1000℃以上になるとガスは液化し、さらに中心に向かうと岩石や金属などでできた中心核にたどりつきます。この核の温度は3万5000℃と、太陽の2倍の熱を放出しています」

木星は住みづらそうなんで、もういいです。引き返します。ん? 近くにボコボコした変な星が見えますね。煙を噴き上げていて、温泉のいい匂いがしてきましたよ。次、あの星行きましょう。

「それはイオという木星の衛星で、観測されている限りでは地球以外で活火山を持つ唯一の星です。火口から噴出しているのは硫黄や二酸化硫黄で、その噴煙が上空300kmまで上がっているんです」

どうやら温泉でゆったり癒やし系っていう雰囲気ではなさそうですね。真っ裸で300kmとか噴き上げられるのイヤだし。

「イオは木星の強烈な重力を受けて内部が変形し、そのゆがみによって生じる摩擦が熱エネルギーを発して火山活動を行うといわれています」

おっ、今度は亀裂だらけの変な星を発見! ゴルゴの背中みたいでチョーウケるんですけど!

「それはエウロパという木星の衛星で、この星も非常にユニークです。表面は厚さ3km以上もある氷で覆われていますが、実はその氷を掘っていくと深さ数十kmから数百kmの海があるといわれています。表面の亀裂は潮汐力によってできた氷の亀裂なんですね。イオと同様に木星の重力によって内部に熱が生まれ、その熱によって氷が溶けて水になっていると考えられているんです。この深海には生命がいる可能性もあります。将来、深海探査機を運んで調査することができれば、面白いことになると思いますよ」

地球でも水さえあれば、それはそれは極限な環境でも微生物が生息している。大量の水がある可能性が高いエウロパは、もっとも生物の存在が期待されている星ということらしい。
それにしても、ガス惑星に火山や氷の衛星太陽系のなかだけでもなんとバラエティに富んだ星があることよ! 太陽系の外に飛び出したら一体どうなっちゃうんですかね? さらに遠くにあるヤバい星に出発進行~!
地球から約7000光年離れた「かに星雲」の中心に、中性子星の「かにパルサー」が存在するのだ。見るからに不気味…近寄りたくない。(C)NASA, ESA, J. Hester and A. Loll (Arizona State University)

中性子星ではスプーン1杯が10億トンの重さになる!?



ボクらが住む太陽系のなかには、ガスでできた惑星や火山活動を行う衛星、氷の衛星など、様々な環境の星があります。太陽系のなかだけでもこれだけ変な星があるんだから、太陽系を飛び出したら、どんな星に出会えるのか? 明星大学、東京大学数物連携宇宙研究機構の佐藤勝彦先生に聞きました。

「それでは、地球から約7000光年離れたカニ星雲に行ってみましょう。このカニ星雲の中心にはかにパルサーと呼ばれる中性子星があります。かにパルサーは半径がたった10km程度しかないのに、重さは太陽の1.6倍もあるんです。スプーン1杯でも、10億トンもの重さがあるということになります」

変な名前のくせに生意気な星ですね。ちょっと行ってみましょうか。ぐぅすごい力で引っ張られてます。

「この中性子星は、簡単にいうとブラックホールのなりそこないです。巨大な恒星が爆発して超新星爆発が起こると、爆発の反作用で星の中心核が超高密度になり、圧縮されて縮んでいきます。このとき太陽の8倍以上の重さの恒星なら、自身の重力に耐えきれなくなり、中心に向かって崩壊し、ブラックホールになります。恒星が比較的小さい場合、非常に高密度なコア(中心核)だけが残ります。これが中性子星です。この中性子星の外殻は、鉄の数億倍の硬さで、宇宙で存在が確認されている物質のなかで最大の強度を誇るといわれています」

あぁ、どうりで。近づいただけでボクの体、伸びきっちゃってます。先生、そろそろちぎれてしまいそうなんですけど!

「中性子星の重力は地球の210の11乗(200000000000)倍あるので、近づいたら一気に引き寄せられます。この重力からは光の1/3以上の速度がないと脱出できないといわれています。重力が強いと重力源に近い方と遠い方を引き延ばす力(潮汐力)が働くので、体は中性子星にたどりつく前にバラバラになってしまいます」

それ先に言ってください。とりあえず潮汐力を無視して、中性子星に降りてみましょうか。うん立てませんね。なにしろ体が重たいです。

「中性子星では1ミリの山も作れないといわれるほど重力が強いので、人間なんて一瞬でつぶされてしまいます。また、一般相対性理論では重力が強いほど時間がゆっくり流れます。中性子星にいるあなたは、私から見て約1割増しでゆっくり動いているように見えるんです。さらに、中性子星は非常にコンパクトに圧縮されたため、自転の速度が爆発前の恒星よりもはるかに速くなっています。これはフィギュアスケートの選手が腕を体に引き寄せると回転速度が上がるのと同じ原理で、かにパルサーの場合は1秒間に33回も自転しています。なかには1秒間に1000回自転する中性子星もあるんですよ」

あはははー! 目が回る~! ココ、ひとつもいいところなーい!

それにしても太陽系の外に飛び出すと、
地球とは比べようもない変な星があるんですな。
宇宙は果てしなく広大だし、当然まだ発見されていない星もあるはずです。
そう思うとわくわくしませんか?
将来、もっとへんてこな星が見つかったら、また宇宙鉄道を出発させまーす! 宇宙のチリが集まって成長したものが星ですが、
もしも地球が太陽よりももっと離れた場所にあったら、
ガス惑星や氷の惑星になっていたのかもしれません。
あらためて地球が偶然の積み重ねによって生まれたんだなと感じました。

これからも不思議すぎる宇宙のナゾに体当たりでぶつかります!
気になることや調査してほしいことがあったら、
いつでもお便りプリーズ!

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