生命保険はボクらを守ってくれるの?

第21回 海外で入院や死亡! 保険は払われる?

2009.12.07 MON

生命保険はボクらを守ってくれるの?

海外で入院した場合も、死亡した場合も条件を満たせば保険金は支払われる



最近は海外旅行は当たり前、仕事で海外に出張したり、転勤したりする話もよく聞くようになりました。ある日突然、自分が海外に…ってことも十分に考えられます。

自分に万が一のことが起こったときに備えて入っている生命保険ですが、海外で病気になったり、事故に遭遇した場合もきちんと保険金は支払われるのでしょうか。改めて考えてみると、ちょっと不安です。というわけで、『生命保険の「罠」』(講談社+α新書)などの著者であり、生命保険の事情に詳しい後田亨さんにそのあたりの話を聞いてみました。

「被保険者が海外で入院した場合でも、入院給付金や手術給付金は契約書の約款通り、きちんと支払われますよ」

あ、そうなんですね。それはよかった!
海外で入院した場合、日本の病院と同等のきちんとした医療機関でないと給付金を受け取ることは難しい。長期で滞在する場合は、滞在先周辺の病院くらいは調べておいた方がよさそう
「とはいえ、どんなケースでも入院給付金が支払われるわけではありません。海外での入院は対象外としている会社もありますし、対象となっている会社であっても約款には『ただし、入院・手術給付金等の場合は、入院先が日本国内の病院または患者を入院させるための施設を有する診療所と同等の、日本国外にある医療施設に限ります』というような但し書きがあるはずです」(同)

ちょっとわかりにくい但し書きですが、日本の病院と同等のきちんとした医療機関に入院しなければ給付金は支払われない、ということらしい。また請求には、「入院証明書」のような書類が必要になるので、それらをきちんと発行してくれることも条件にはなってくるようだ。 

「被保険者が海外で死亡した場合も、死亡保険金は国内と同様に支払われます。ただし、この場合も無条件に…というわけにはいきません」(同)

死亡保険金の支払い請求には、現地で発行された死亡診断書(死体検案書)が必要。死亡保険に災害死亡保障特約などが付いている場合には、不慮の事故に遭ったことを証明する新聞記事や、現地の公的機関が発行した交通事故証明書などが必要になるケースもあるんだとか…。

なるほど、海外の場合はいろいろな書類を集めるのが面倒そうですね。ほかにも、注意するところはありますか?

「入院給付金は海外にいても受け取れますが、死亡保険金の受取人が海外にいる場合、請求は原則として受取人の帰国後になります。受取人が当分の間、帰国する見込みのないときには、日本国内に在住する3親等以内の親族か弁護士に請求を委任することになるでしょう。その場合でも海外送金は行われず、死亡保険金は委任された代理人の口座に振り込まれるので注意が必要です」(同)

また後田さんによれば、海外での事故による死亡保険の支払いでは、特に保険を契約してから日が浅い場合など、犯罪や保険金詐欺なども視野に入れ、保険会社が調査することもあるんだそうです。

いろいろと手続きが大変そうですが、とりあえず海外でも保険金はきちんと支払われることを知って安心しました。保険会社によっては、「海外渡航の手引き」という海外渡航時の保険の扱いを解説している冊子を用意しているみたいなので、気になる人は取り寄せて読んでみてはいかがでしょうか。

海外渡航中は保険の契約ができない 渡航前でも契約を断られるケースも…



生命保険に入っていて、海外で入院したり、死亡した場合、条件さえ満たせば保険金はきちんと支払われる。要するに、日本の病院と同レベルの病院に入院したり、きちんとした死亡証明書を書いてもらえればいいんですよね?

「もうひとつ、忘れてはいけない重要な事柄があります」。こう語るのは、『生命保険の「罠」』(講談社+α新書)などの著者である後田亨さんです。

「海外に渡航中も、毎月の保険料をキチンと支払い続けていること。転勤などで長期間海外に滞在する場合、国内金融機関の口座振替で保険料を支払っている人は、残高不足で引き落としができないなんてケースがあるので注意してください」

あ、そうか。海外で保険金をもらうことばかり考えていましたけど、保険料を毎月きちんと支払っておくことが大前提ですよね。ちなみに口座振替を利用していない人が、海外で保険料を支払う場合、なにか方法はありますか?

「あらかじめ、国内在住の親族を代理払込人として保険会社に指定しておき、海外渡航中はその人に支払ってもらう方法もあります。経済的に余裕があれば、保険料の前納や一括払いも可能です。海外渡航中、保険料の払い込みがどうしても継続できない場合は、『払済保険』への変更もできます。『払済』とは、保険料の支払いを中止し、その時点での解約金で買える範囲の保障を確保する方法のこと。一般に保険金の額は小さくなりますし、付けていた特約もすべて消滅してしまいます。本格的な保障が不要ならいいのですが…」(同)

そんな方法もあるんですね。ところで、海外渡航中に不安になって、新たに日本の保険に加入することはできるんですか。
外務省の「海外安全ホームページ」。治安悪化、テロなど紛争地域の情報のほか、新型インフルエンザに関する情報もあるので渡航する前に一度は見ておこう
「それはできません。残念ながら、多くの保険会社が海外渡航中の保険加入は取り扱っていないようです。また渡航前であっても、滞在期間が3年以上、あるいは登山・探検・観測などの目的で渡航を予定している人や、社会的不穏地域やこれに準ずる地域に渡航を予定している人は、保険会社側で契約を断るケースが多いようです」(同)

社会的不穏地域とは、戦乱やテロ、暴動が起きていて、渡航者の身の安全が保障されない地域のこと。

「海外渡航中の保険の加入や保険金の支払い条件は、保険会社によって考え方に多少の幅があります。短期の観光旅行は別にして、留学や転勤など長期にわたって海外に滞在する場合には、保険会社に事前に通知しておく方がいいですね。保険会社側も、契約者・被保険者・受取人が海外渡航する際には『海外渡航通知書』を提出するよう求めていますし、気になることや心配なことは、保険会社に事前に聞いておくのがベストです」(同)

保険の内容だけではなく、海外の渡航先や渡航目的も人それぞれ。これから海外に長期渡航するという人は、加入している保険会社にとにかく直接問い合わせることが大切なようです。 とりあえず、海外で万が一のことが起こっても、保険金は支払われることがわかってホッとしました。

ただ、保険会社によって考え方に違いもありそうなので、海外渡航を控えている人は一度保険会社に問い合わせてみた方がよさそうですね。「海外渡航の手引き」を用意している保険会社なら、そちらを取り寄せてみるのも手かもしれません。

この連載では、引き続き保険選びに関する皆さんの様々な疑問を募集しています。

なお、次回は「保険に入らない選択っていうのもアリ?」というテーマで、保険について考えてみます。

取材協力:後田亨氏

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