水の飲み過ぎによる死亡事故発生

体液の成分が薄くなる「水中毒」にご注意!

2010.08.19 THU



写真提供/PIXTA
熱中症対策などで、水分補給が重要なこの時期に、注意しておきたいキーワード「水中毒」。水の大量摂取により起こる中毒症状で、マラソン大会や水飲み大会などで死亡事故例が報告されている恐ろしい「中毒」だ。

薬物ならいざ知らず、クリーンなイメージの“お水”の中毒なんてにわかには信じられないが、では水がどういう仕組みで「毒」として働くのだろう。人体の60%は水分だとか、生命が生まれた海と人体のナトリウム(以下Na)濃度が似ている…とかいう話は聞いたことがあるかもしれない。実はこのNa濃度が、水中毒のカギなのです。

大量の発汗などで水分と同時にNaが多く排出された状態、そこに水だけが補給されれば、Naの濃度が薄い状態「低Na血症」になる。Naは神経刺激や筋肉の収縮に必要なため、濃度の低下が進むと内臓、筋肉の働きに異常が起こる。また、細胞の水分バランスを保つのにもNaは必要なため欠乏すれば細胞が水ぶくれを起こし、脳細胞までがむくんだ状態になってしまう。当然、筋肉や脳の働きに異常がおこるから生命活動が危うくなるわけで、最悪の場合死にいたる…。これが水が体にとって毒になった結果であり、予防には水分と同時にNaの摂取が必要な理由なのだ。

とはいえ体内の水分とNa量のバランスを保つ器官、腎臓の働きは強い。健康な成人が常識的に水を飲む範囲では水中毒に対しそれほど神経質になる必要はないという。ただし激しい発汗をともなう運動では、Na補給の必要性はより高まる様子。

いずれにせよ、水中毒を恐れるあまり水分を控えて、脱水症状を起こすなんて本末転倒。腎臓を健康に保つためにも、短期間に・大量の・水だけを摂取、という水中毒まっしぐらの飲み方は避け、常識的に少量ずつ飲めばいい。ただし、大量の発汗後に、塩や梅干しなど塩分を多く含む食品で意識的にNaの摂取を心がけよう。
(Hz)
監修/日本医科大学腎内科・飯野靖彦教授


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