知られざるあの仕事の報酬

第11回 落語家の報酬は?

2011.05.16 MON

知られざるあの仕事の報酬


落語家の活動のメインとなる常設の興行場所が寄席。東京では写真の新宿末廣亭、上野の鈴本演芸場、浅草演芸ホール、池袋演芸場の4つが有名 写真提供:千里 / PIXTA

長年の修練で培った芸を売る仕事です



日本の伝統話芸を演じる職業、落語家。今、落語ブームでスポットが当たっているけれど、普段どんな仕事をしてどれぐらいもらっているのか想像がつかない。そこで落語関連の著作も多い、演芸研究家の大友浩さんに聞いた。

「東西や一門によって異なりますが、代表例を挙げると、落語家の身分は『見習い』『前座』『二つ目』『真打』があり、それぞれ主な役割が異なります。落語家の道は『真打』の師匠に入門するところから始まり、試用期間の『見習い』を経て『前座』に。この時点で落語協会などの師匠が所属する同業者団体に登録し、落語家という職業人になります。『前座』のときは主に、寄席に出演する先輩のための雑用に従事。楽屋でのお茶汲みをはじめ、寄席の裏方で進行役を担うという役割もあります。一人前の落語家と認められるのは『前座』を4、5年経て『二つ目』になってからです」

ではその寄席の出演料はどうやって決まるの? 「そこには“ワリ”という独自のシステムがあります。寄席の入場料収入全体から寄席の興業主に半分を渡し、経費を引き、残った額を出演者全員で分配するのですが、身分の違いやキャリアの長さなどにより各落語家の取り分の基準値が決まっており、その基準値をもとに比例分配します。また、寄席の最後を飾る演目を行う“トリ”を務められるのは『二つ目』を10年ほど経てなれる『真打』だけですが、“トリ”を取ったときだけ額が2倍に。ただし“ワリ”自体の額は全体的には非常に安い。しかし、落語家にとって寄席は道場であり、芸を披露でき、自分を育ててくれる場所であることから、落語家は寄席をとても大事にしています」

大友さんによれば落語家は現在、700人弱いるそうですが、テレビなどで活躍できるのは少数だろうから、寄席だけでやっていくのは厳しそう…。

「寄席以外の仕事に、企業や落語好きの一般の人からの依頼で行う落語会があり、こちらが収入のメインという落語家もいます。複数の落語家が出演する会で一席打つというものや、2時間の独演会を丸々手がけるなどケースは様々。報酬は会の性質や落語家のキャリアなどに応じてかなり幅があり、交通費に毛の生えたような額や一席100万円の場合もあると聞いています」

名人クラスが独演会にかける大ネタが小一時間かかることを考えると、時給100万円といえなくもない。落語家の道を極めた人だけが得られる、特別な報酬なんでしょうね。  

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