“435年モノ”の梅干しもあるとか…

古来より伝わる保存食「塩漬け」が長もちするワケ

2011.07.07 THU


湿気が多く気温も高くなるこれからの季節、食品の保管方法には気をつけていないとすぐに腐ってしまう。食品を腐らせず長持ちさせるための一つの手段として、古くから用いられている方法の一つが塩漬けである。

「塩漬けは、塩の脱水作用をうまく利用した保存方法です」

教えてくれたのは全日本漬物協同組合連合会の常任顧問で、東京家政大学教授の宮尾茂雄先生。

「『塩ごろし』といって、塩をまぶすと、浸透圧により細胞内の水分が排出され細胞の活動が止まります。同時に、野菜自身のもつ酵素の働きでうまみが出てきます。さらに漬けこむと、乳酸菌などの微生物が繁殖して、糖類を分解していく、つまり発酵が始まるんです」

発酵が進むと漬物が酸っぱくなりすぎてしまうが、これは乳酸菌が活発に活動している証らしい。

「この状態をおいしいと感じるか、腐っていると感じるかは人それぞれで、起こっている現象は同じなのです」

なんと! 発酵と腐敗の境界線は、人間の都合によって決められていたのだ。

ちなみに、奈良県の中家に安土桃山時代から伝わる435年モノの梅干しがあるそうですが、こんなに長い間腐らないのでしょうか?

「昔ながらの梅干しは、20%以上の高濃度の塩で漬けこんでいることと、梅のもつクエン酸の働きもあり、長期間の保存が可能です」

ということは、逆にいうと長期保存するためには塩分の濃度を上げないといけない?

「今は冷蔵庫がありますので、減塩の漬物でも冷温で保管することで長もちするようになっています」

愛知県漬物協会の調べによれば、1960年代と90年以降では、漬物の塩分含量は半分以下になっているという。冷蔵庫の発達は保存食に画期的な変化をもたらしたようだ。古くから親しまれてきた保存食、塩漬けも時代とともに変化しているんですね。
(ジョスイアン)


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