身体にまつわる都市伝説 第60回

傷口にはツバを付ければOKってホント?

2011.08.15 MON

身体にまつわる都市伝説


人の口の中は雑菌だらけ。ツバを付けることで傷口が悪化したという臨床データは見当たらないそうだが、治癒効果も期待できないと須田先生は語る。転んで傷を負ったら、まずは水で洗い流すのがいいようだ 写真提供/PIXTA
子どものころは、夏休みともなればそこら中を駆けまわり、たまにすっ転んでは擦り傷をこしらえていたもの。傷口から血が出たりしても、「ツバ付けとけば大丈夫!」と意にも介さず夢中になって遊んだ経験、誰しも記憶にあるのではないだろうか。

けど、ツバを付けておけば大丈夫…といわれた根拠はいったい何だろう? 唾液には消毒効果があると聞いたこともあるが、実際のところどうなのか。池袋スカイクリニックの須田隆興先生に聞いてみた。

「唾液に含まれている、リゾチーム、過酸化酵素、IgAといった成分に、バクテリアの増殖を防ぐ働きがあるのは事実です。ただし、それ以上に人の口腔内には、雑菌が非常に多いんです。傷口にツバを付けて安心、というわけにはとてもいきません」

都市伝説というよりも古くから伝えられてきた民間療法だが、これは医学的には決して推奨されないようだ。そもそも虫歯や歯周病といった口腔内の病気は、すべてこうした雑菌によって引き起こされるもの。なにしろ野生動物の中には、口腔内のばい菌を牙から送り込んで獲物に致命傷を負わせる生物だって存在するほどなのだ。

「バクテリアの増殖を防ぐ唾液の機能は、あくまで生体防御のためのものと考えるべきでしょう。これによって、私たちの口の中はばい菌で一杯にならずに済んでいます。しかし、リゾチームやIgAといった成分を直接塗ったところで、傷の治癒にはつながりません」

大人になってからも、酔っ払って転んだり手足をぶつけたりすることは、意外と日常茶飯事。そこで少年時代を思い出して、傷口にツバを付けるのではなく、「やはり転んだり擦ったりしてできた傷は、まず水道などで洗い流すことをオススメします」というのが須田先生からのアドバイスだ。
(友清 哲)

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