通貨の“連動性”を忘れちゃダメ

「分散投資」に誤解アリ! 間違いだらけの資産運用

2011.09.15 THU


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写真提供/PANA
「分散投資」は株式や債券などにおける資産運用の鉄則。値動きの異なる複数の投資対象で運用することで、値下がりのリスクを軽減するのが狙いだ。

たとえば、景気停滞局面では通常、株価がなかなか上昇しない一方、債券は買われるケースが多い。このため、株式と債券の両方に投資すれば、株価の下落を債券価格の上昇で吸収することが可能だ。

だが、個人の運用相談などに乗るファイナンシャル・プランナーの多くは、「投資対象に偏りがあり、分散効果が出ていない」と言う。最近は外貨建て資産への投資が注目を集めているが、手の内を聞いてみると「ブラジルの株や債券で運用する投資信託だけを保有していると値下がりが不安なので、豪州モノの投信も追加購入した」といった具合だ。

なぜ、それが“偏り”につながるのか? 新興国や資源国の通貨は連動性が高いからだ。特に08年のリーマンショック以降、その傾向は顕著で、ブラジル・レアルが値上がりすると豪州ドルも同様に上昇する。両国の資産の同時保有は、値上がり時の儲けは大きいが、値下がり時には深い痛手を負う。

加えて、注意すべきは「資産の流動性」。流動性の低い資産は、売りたい時に売れるとは限らない。下表は、外国為替市場の通貨を貿易取引などで使われる金額順に並べたもの。ブラジル・レアルなどはトップ5に含まれない。いかに成長性があろうとも、流動性が低いと投資対象としてはリスキーともいえる。今夏以降の欧米の財政危機深刻化で、超低金利にもかかわらず円が買われた背景には、流動性が高く、売買しやすい「安全通貨」としての側面があった。流動性はそれだけ重要なポイントなのだ。

外貨建て商品への投資は、為替相場の変動によって運用成績が大きく左右される。分散投資を行う際は、各国通貨の値動きの違いにも目配りしておきたい。
(松崎泰弘/『週刊東洋経済』)


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