数字で読み解く! 人生の「確率」/第5回

内閣支持率が“正しい”といえる確率は!?

2011.09.19 MON


ちなみに、内閣支持率の“危険水位”は一般的に30%といわれる。30%を切っても強気な態度を崩さない総理は、実は支持率の誤差をちゃんと理解している賢明な人材なのかも? 画像提供:YNS/PIXTA
民主党総裁選での逆転劇を経て、9月2日に発足した野田佳彦新内閣。その直後に行われた各報道機関の世論調査によれば、新内閣を支持するという有権者が過半数となっているようだ。たとえば、読売新聞の調査(2011年9月2~3日に実施)では「支持する」と答えた人が有効回答者数の65%。同社の過去の調査で比べた場合、内閣発足直後の数値としては、小泉、鳩山、細川、安倍の各内閣に続く高支持率なのだという。

ここで気になるのが、今回の内閣支持率のような、世論調査における数値の“正しさ”だろう。当然ながら、どの調査も有権者全員から回答を集めているわけではなく、1500人前後の回答数をもって世論としている場合が多い。詳しい計算の紹介は省くが、この数字は「10万人以上の意見を知るためには全体のうち1500人程度の意見を集めればよい」という、統計学の理論(10万人以上なら何億人でも同じ)を根拠としたものだ。とはいえ、当然1500人分だけで、完全に全体の意見を把握できるわけではない。あくまでも理論上の話なので、結果にはある程度の誤差が含まれていることが前提となる。支持率65%といっても「有権者全体のぴったり65%が支持している」とは言えないわけだ。

さて、ここからが本題。実は世論調査の結果にある程度の誤差があるなんてことは、調査元でも重々承知なのだが、それを明記するとかえってややこしくなるためか、ほとんどの報道では誤差の説明を省いた発表を行っている。つまり、「支持率は65%」と発表された場合、より正確には支持率「65±★%」とみるべきなのである。

この誤差にあたる「★」は、誰でも計算することができる。計算に必要なのは調べたい結果の比率(この場合は65%=0.65)と、調査の元になっている有効回答数(読売新聞の調査の有効回答数は1100人)だ。計算式は、

★=√(比率×(1-比率)÷有効回答数)×1.96×100

となる。「1.96」とは、解説は省くが調査の“信頼度”を「95%」と置いた場合に用いる数値。この計算は「95%の確率で誤差が±★%以内に収まっている」ことを知るためのものとなる。ちなみに、調査によって信頼度が異なる場合もあるが、この手の調査の信頼度は95%と設定するのが一般的だ。なので、他の調査について計算する場合でも、1.96という数値を使って構わない。自力で計算するのは面倒だろうから、興味がある人はエクセルのセルに、下記の計算式を入力してみよう。

=SQRT((0.65*(1-0.65)/1100))*1.96*100

答えは2.818710214。約3%の誤差になる。つまり、この調査で発表された「支持率65%」とは、実際には「95%の確率で62~68%の範囲で支持されている」という意味だと読み取るべきなのだ。これだけの幅があるとわかれば、支持率が数%動いたとしても、問題視する意味はあまりないということがわかるだろう。

なお、この計算式はテレビの視聴率など、他のアンケート調査の誤差を読み取る際にも利用できる。微妙な調査結果の変化に惑わされないよう、覚えておくと便利かもしれない。

(石井敏郎)

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