数字で読み解く! 人生の「確率」/第6回

人工衛星落下よりお風呂の方が怖い?

2011.09.26 MON


言い方を変えれば、今回の「自分が人工衛星の破片に当たる確率」は、日常に潜むリスクと比べれば、遥かに低いということ。必要以上に心配する必要はないのだ 画像提供:Neo/PIXTA
「人工衛星の破片が当たる確率が3200分の1!」という、ショッキングな見出しのニュースが、つい最近(2011年9月9日)話題になったのをご存じだろうか?

これは、1991年に打ち上げられた大気観測衛星「UARS」が役目を終え9月下旬から10月上旬にかけ大気圏に再突入する見通しとなったことに関する、NASAからの発表によるもの。大気圏突入により人工衛星の大半は燃え尽きるが、最大で26個の破片が赤道をはさんだ北緯57度から南緯57度の間のどこか(約800km四方)に落下。その場合の「人に当たる確率」が3200分の1になるのだという。

この範囲に日本が含まれているため、ネット上では、ジャンボ宝くじの1等に当たる確率(約1000万分の1)などを引き合いに出して「3200分の1って、すげぇ高確率じゃね? 怖ぇー!!」と騒いでいる人も多いようだが…。NASAの発表をよく見ると、“3200分の1”とは、あくまでも「世界中の誰かに当たる」確率。それが「自分(特定の誰か)に当たる」となると、21兆分の1まで確率が下がるとしている。監修の先生によればこの確率は推測だが、

(3200分の1)×{1÷(北緯57度から南緯57度の間に住んでいる全人口)}

で計算しているのでは、とのこと(全世界の人口≒65億人で計算すると、だいたい近い数値となる。世界の人口の大半は北緯57度から南緯57度の間に存在しているので)。この程度の確率であればまさに“杞憂”。自分に当たるかも? とビクビクして暮らす必要はないだろう。

それでも「確率が0%でない以上、心配がないとはいえない!」と考える人がいるなら、世の中にはもっと心配すべき“リスク”がたくさんあるのだ、ということを知ってほしい。

たとえば、毒ヘビにかまれて死亡するリスクはどうだろう? 「人口動態調査」によれば、「毒ヘビ及び毒トカゲとの接触」により死亡した人の数は平成22年で4人となっている。この年の日本の総人口が約1億2800万人なので、死亡者数÷総人口を「毒ヘビにかまれて死亡するリスク」と考えるなら、日本人が1年間に毒ヘビ及び毒トカゲにかまれて死亡するリスクは、

4÷128000000≒0.0000031%

となる。21兆分の1は約0.000000000005%なので、単純比較はできないが、あえて「自分が人工衛星の破片に当たる確率」と比べると、毒ヘビにかまれて死ぬリスクの方がその62万倍も高い、と考えることもできるわけだ。

ちなみに、同じく「人口動態調査」に掲載されたデータによると、「アイススケート,スキー,ローラースケート又はスケートボードによる転倒」で死亡するリスクは、人工衛星の破片に当たる確率の200万倍(死亡する確率0.00001%/年間14人)、「がけからの転落」で死亡するリスクは1600万倍(0.00008%/101人)も危険。「浴槽内での溺死及び溺水」(お風呂で死亡)するリスクに至っては、なんと6億倍も危険(0.003%/4433人)ということになる。いやはや、恐るべし浴槽。果たして、このリスクを知っても、まだあなたはお風呂に入りたいと思うのだろうか…??

(石井敏郎)

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