数字で読み解く! 人生の「確率」第11回

「残り物に福がある」確率は?

2011.10.31 MON


ちなみに、実際の福引ではセール期間の後半になってから当たりくじを箱の中に入れる、なんて操作を行っている場合があるとかないとか… 画像提供:阿野陽/PIXTA
セールのシーズンになると、デパートや商店街などで実施される福引。どうせ残念賞のティッシュに当たるのが関の山と思いつつも、抽選券をもらえば、やはり福引の列に並ばずにはいられないものである。

ここで悩ましいのが、くじを引くタイミング。くじの数が多い前半で引いた方が良いのか、それとも「残り物には福がある」ということわざに従い、くじの数が少なくなった後半で引くのが良いのか…。「引くタイミングにかかわらず当せんする確率は同じ」という通説を聞いたことがある人も多いと思うのだが、感覚的にはやはり「残り物には福がある」を支持したくなるのが人情というもの。そこで今回は、最初に引くのと最後に引くのとで、当たりくじを引く確率が変わるのかどうかを、あらためて考えてみたい。

10本のうち1本の当たりが入っているくじがあったとしよう。これが、10人で同時にくじを引くルールなら、当たりくじを引く確率は全員10分の1と、すぐに理解できるはずだ。しかし、1人1回しか引くことができないくじを、10人が順番に引いていくルールとなると…、

「最初にくじを引く人の当せん確率は10分の1。もはし最初の人がハズレを引いたとすれば、次にくじを引く人は残りの9本の中から選べばいいので、当せん確率は9分の1となる。つまり、後からくじを引く人の当せん確率の方が高くなるはず」

と考える人も出てくるだろう。しかしここで、くじを引く順番を後にするのは、まったく意味がない。何故なら、順番が後の人が当たりくじを引くためには「自分より順番が前の人がハズレを引いていなければいけない」という条件があるからだ。

1番目にくじを引く人が、当たりくじを引く確率は10分の1。つまり、ハズレを引く確率は10分の9ということになる。2番目の人が当たりくじを引くためには、1番目の人がハズレを引いている必要があるので、

(9/10)×(1/9)=9/90=1/10

となり、1番目にくじを引く人と同じ当せん確率となる。同様に3番目にくじを引く人の当選確率は、

(9/10)×(8/9)×(1/8)=72/720=1/10

つまり何番目に引いても、当たりを引く確率は10分の1。確率的には「残り物には福がある」とはいえないのである。

ただし、これは自分より前の順番でくじを引いた人の中に、当せん者がいるかいないかがわからない場合に限った話。たとえば、これまでにくじを引いた3人全員がハズレを引いたことがわかっている状況でくじ引きに参加できるなら、4人目以降の人たちが当たりくじを引く確率は7分の1となる。

だったら、やっぱり後からくじを引いた方が得なのでは…と思ってしまった人は、またしても確率のトリックにひっかかっているので要注意。「最初の3人が全員ハズレを引いた」という状況になるのを待っている間に、他の誰かが当たりを引いてしまうかもしれないわけですからね…。

(石井敏郎)

取材協力・関連リンク

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト