知っておきたい親孝行&介護の作法 第11回

「親の死」に直面する前に、僕らがしておくべきことは?

2011.10.31 MON


残される家族に伝えたいことを本人の手でまとめることができる『マイ・エンディングノート』(日本葬祭アカデミー編)は、二村氏が1999年に発行。申告があればその使用権を広く認めることで、さまざまな形で普及しているんだとか
僕らの人生がこの先もつつがなく進んでいくとして、いずれ必ず直面することになるのが「親との別れ」だ。親が元気なうちから考えるのは不謹慎な気もするけれど、子である僕らだけでなく、家族や親戚全員にとっての一大事でもある。家族構成によっては、喪主として葬儀を取り仕切る立場になる人だっているはずだ。

現実的にはずっと先のこととはいえ、もしも今すぐ“そのとき”がやってきたとしたら、正直いってキチンと見送れる自信がない。親が突然倒れても慌てず対処できるように、今から準備しておけることってあるんだろうか?

「高齢の親の本音としては、自分が死んだ後の様々な手続きについて、元気なうちにキッチリ決めておきたいという気持ちは当然あるでしょう。しかし、同時に“子に負担を掛けたくない”という思いも強いために、改めて家族でしっかり話し合うことができない人が多いんです」

と教えてくれたのは、葬儀にまつわる総合的な情報提供やカウンセリングを行っている日本葬祭アカデミーの代表・二村祐輔さん。

「そこで近年流行しているのが、『エンディングノート』といわれる覚え書です。これは、もし突然の病気で意識不明のまま亡くなってしまうようなことになっても、残された家族へ伝えるべき事柄をまとめておける新しい形の遺言書のようなもの。親が自ら入手するのはもちろん、子が親へプレゼントするケースも増えているんですよ」

実際に「エンディングノート」をめくってみると、預貯金や不動産、生命保険といった財産関係をはじめとする実務的な手続きから、医療や介護についての意志、葬儀に呼びたい人のリストや埋葬方法に至るまで、万が一に備えて家族に伝えるべきあらゆる事柄を書き残せるようになっていた。こんなノートを残してもらえれば、確かに心強いかも。

「現代社会は、死を日常から可能な限り遠ざける風潮があるために、家族に対しても“亡くなった後のこと”を語るのはタブーと思っている人が多くいます。しかし、日本の伝統的な“家”の構造において、世代がリレーしていくのは当たり前のこと。親の死について準備するのは、子が家族の一員として責任感をもつことであり、家族の将来を真剣に考えるきっかけでもあります。一種の危機管理といってもいいと思いますよ」

できれば考えたくないことではあるけれど、目をそらさずにキチンと備えることで、親も安心できるはず。帰省で実家に帰った折などに、エンディングノートをさりげなく手渡してもいいかもしれない。
(呉琢磨)

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