社会人から入門するケースも

九谷焼に井波彫刻…弟子募集中の伝統工芸とは

2011.11.17 THU


井波彫刻 「火龍剣」 富山県の南砺市(旧・井波町)に約240年前から伝わる技を生かして2009年に協同組合の事業として開発された井波彫刻ギター。本体はギターメーカーが製造しているので実際に演奏できる
画像提供/井波彫刻協同組合
日本各地で伝統工芸の後継者不足がささやかれるようになって久しい。しかし、着実に若手が入門する工房もあるという。そのひとつ、豪華な木彫りで知られる富山県の井波彫刻は「10~20代の方が、毎年、途切れることなく全国から来てくださいます。近年はインターネットで作品を見て井波彫刻を知り連絡してくる方が増えました」(井波彫刻協同組合・崎田さん)という。ここ数年、入門希望者は毎年10人ぐらいで、訓練校に入校するのは2~3人とのこと。

九谷焼を担う人材を育成する石川県九谷焼技術研修所でも「3年前まで10人ほどだった入学希望者が昨年から15~16人に増加した」という。地元での就労を条件に、独立のサポートを県から受けることもできる。同じく石川県加賀市の山中漆器では、若手の挑戦が目を引く。組合青年部の20~30代の職人たちが、伝統の技を他分野にも応用できることをアピールすべく、山中塗仕様のガンダムのプラモデルを制作。バンダイ主催の「ガンプラ」世界大会の予選に出品した。では、実際に研修を受けたり弟子入りを希望するのはどんな人たちなのだろう。

「近年、地元だけではなく他の地方から入門する方や、4年生大学卒業後、あるいは就職後に工芸を目指す方も出てきています」とは、伝統工芸の世界や仕事を紹介するサイト「ニッポンのワザドットコム」(nipponnowaza.com)編集長の鈴木一誠さん。「魅力を感じた工房の門を自ら叩くケースが多いようですが、残念ながら伝統工芸全般にいえる話ではありません」(鈴木さん)。

職人の世界は技術を身につけるまでに時間もかかり、技術を身につけても収入を得られる保証のない厳しい世界。「最終的に残るのは、本気で作りたいと思っている方だけ」(鈴木さん)と厳しいお言葉。必要なのはゆるぎない熱意と覚悟ということか。生半可な気持ちで門を叩くと後悔しそうだ。      (駒形四郎)


  • 山中漆器

    「USBメモリー」「スマホケース」

    作者の守田貴仁さん(38歳)はアメリカで電子工学を学んで帰国後、故郷・加賀市山中温泉の漆器業界へ入った。山中塗ガンプラを制作した山中漆器連合協同組合第1青年部の部長も務める
    画像提供/守田漆器
  • 九谷焼

    「色絵豆皿」

    作者の中川豪さん(35歳)は東京出身。大学生時代に陶芸に興味を抱き、全国の陶芸の産地を巡るなか、九谷焼に惹かれて石川県立九谷焼技術研修所へ入学。卒業後、妻の中川美保さんと工房を作った
    画像提供/工房あめつち
  • 屋久杉工芸

    「屋久杉スピーカー」

    開発したのは入社1年目の職人、上野晃広(27歳)さん。現在、屋久杉は伐採が禁止されているため、「土埋木」(寿命を終えて土に埋もれている木)の一枚板で作られている
    画像提供/九州銘木

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