全国の空き家率は13.1%

空き家増でもマンション増加のワケ

2012.07.01 SUN


全国的な「空き家率」の上昇が叫ばれて久しい賃貸住宅業界。総務省が5年ごとに行っている『住宅・土地統計調査』の最新データ(2008年時点)では、全国の住宅約5759万戸の中で空き家は約756万戸。空き家率は13.1%に上った。50年前にはわずか2%だった空き家率は右肩上がりで上昇を続け、調査のたびに過去最高を更新している。

ここでいう「空き家」には別荘などの「二次的住宅」や「売却用の住宅」なども含まれるが、「賃貸用の住宅」に限っても空き家は約413万戸に上り、前回調査より約45万戸増えたことになる。やはり、数字上でみれば賃貸住宅市場の需給バランスは大きく崩れているように感じられる。

それでも首都圏や大都市圏では相変わらず次々とマンションが建設されている。このままではさらに空き家が増えてしまうのではないかと心配になるが、都道府県別に細かく分析していくと、少し印象が変わってくる。

まず、全国で最も空き家率が高いのは「山梨県」。10年前の約15%から約20%に上昇した。次点の「長野県」も10年前は約15%だったものが約19%になっている。一方、「東京都」「神奈川県」「埼玉県」といったいわゆる都市部の空き家率は約11%で、これは10年前とほぼ変わらず。意外にも、次々と新しいマンションが建てられている首都圏の空き家率は、この10年間ほとんど上がっていないのだ。

野村総合研究所は『2020年の住宅市場』レポートの中で「空き家率が増加すると、既存物件の家賃および売価を下げる圧力が働くため、新規物件の価格低下を引き起こす。これにより新規物件開発が抑制されるため、空き家率は理論上、一定の水準で収束すると考えられる」と分析。2030年頃には全国の空き家率は13.6%程度で収束すると予測している。この分析を裏付けるように、首都圏や大都市圏においては今のところ需給バランスが保たれているようだ。

ちなみに、5軒に1軒が空き家という山梨県や長野県の場合、マンションなどの集合住宅は少なく空き家の多くは築古の一軒家。高齢化が進む地方では所有者が死亡するなどして買い手がつかなくなり、物件が余ってしまうケースが増えているようだ。
こうした状況を受け、地方都市も「空き家対策」に乗り出している。都心から地方に移住する人に空き家を貸し出す「空き家バンク制度」を“実施している”あるいは“実施を検討している”市町村は合わせて85.3%にも上る(地域活性化センター調べ)

都市の空き家率が高くなると、防犯上の問題が起きたり行政サービスが低下するなど、住環境の悪化を招くといわれている。それぞれの「住みよい街」を守るためにも、需給バランスのとれた開発と自治体の頑張りに期待したいところだ。
(榎並紀行)

※この記事は2012年02月に取材・掲載した記事です

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