「新成人」ナビゲーター

意外と知らない!「大人の義務」は

2012.12.26 WED

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勤労の義務は、働く能力がある人は働いてくださいね、というもの。これは本来、生活保護など国からもらえるお金を不正に受給しないため。しかし、勤労の義務に違反したからといって強制労働させられることはない 写真提供/PIXTA

働かないと逮捕されるってホント?



「いい大人が働きもせずぶらぶらしているなんて」――眉をひそめる年配者のセリフ、皆さんも耳にしたことはないだろうか? 「遊んで暮らせるなら最高!」と考えている僕らとしては「別にいいじゃん」と言いたいところだが、どうやらこの説教、一理あるようだ。

晴れて新成人となった皆さんには思い出していただきたい。小学校の社会科授業。「国民には“勤労の義務”があります」って習ったことはないだろうか?

実は2012年9月、そんな授業を思い起こす“事件”があった。奈良県で「働く能力がありながら仕事もせず、一定の住居を持たないでうろついていた」という理由で男性が逮捕されたのだ。

働かないだけで逮捕されるなんてそんなのアリ!?…と思いきや、軽犯罪法第一条には、「生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの」は「勾留又は科料を併科することができる」なんて条文が! これはびっくり。ひょっとして、大人になると他にもこういうトラップ、もとい義務が課せられたりするのだろうか?

「いや、そんなに心配することはありませんよ。憲法で定められている義務は、そんなにありませんから。皆さんが知っている国民の三大義務――勤労・納税・教育以外には、ほとんどないと言ってもいいくらいです。もともと憲法は、国民の権利を保障するためのものだから、義務は極力抑えられている。奈良の事件はかなり稀有な例です。働かないだけで罰せられることは、まずあり得ません」

そう語るのは、弁護士の木山泰嗣先生。なーんだ。ちょっとホッとしました。ということは、特に気にする必要はないってことですよね!

「ところが、そうでもないんです。義務とは、言い換えれば強制力のこと。違反すれば法律によって罰則もあるし、逮捕されることもある。そういう意味で、“納税の義務”は覚えておく必要があるでしょう。学生でも起業する人がいますよね。ネットを通じて商売をするとか、FXや投資とか。それによって利益が出たら当然確定申告しなければなりません。それを怠ると、脱税で捕まることもあります」

アルバイトでガッツリ稼いでいたけど、確定申告なんてしたこともありませんが……!?

「アルバイトの場合は、会社が源泉徴収をしてくれていれば、大丈夫です。ただ、個人事業主などフリーで働いている人は、毎年3月15日までに確定申告しなきゃいけないので、覚えておいてくださいね」

よくわからなくて心配な人は、税務署に行けば確定申告の方法や納税について教えてくれるそうです。

「あと、義務ではないけれど、20歳を過ぎたら意識しなければいけないのは契約の問題。民法では、未成年のうちは親の同意がないと、勝手にモノを売り買いできないことになっています。リサイクルショップや、古本屋でも保護者の同意書が必要なのはそのためなんですね。ところが、20歳になると保護されていた状態から解放されて、自由に取引できるようになる。それとともに、悪徳商法にだまされてモノを買わされるなどのリスクも出てきます。あるいは、自覚なく違法なものを売ってしまう場合もあるかもしれない。それでも“法の不知は害せず”といいまして、『そんな法律は知りませんでした』では済まされないんです」

大人になると、たとえ実感がなくてもすべて自己責任。委縮することはないが、言動には慎重を期すことも大人の第一歩。あとは頑張って働くことですかね…。
(中村未来/清談社)

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