「新成人」ナビゲーター

「大人になる」とはどういうこと?

2012.12.26 WED

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石原さんが某月刊誌の編集者時代に出した企画が、のちに書籍化された『大人養成講座』。いわく、「今思えば、ファッションやストリートカルチャーを扱う編集部ならではの“大人になりたくない”ムードに対して、ちょっと意地悪を言いたくなったのかも」…という大人げないきっかけで「大人力」は生まれたのです

『大人力検定』の石原壮一郎さんに聞く



日本の法律では、20歳になったら成年。国から「大人」と認められるわけですが、成人式に出たからといって、スイッチが切り替わるように大人になれるわけではありません。30歳になっても40歳になっても大人げないオジさんがいることは、皆さんも薄々感じているのではないでしょうか。

では、法律によらず、本当の意味で「大人になる」とはどういうことなのか。『大人養成講座』や『大人力検定』などの著書で愛と皮肉に満ちた大人批評を行う、コラムニストの石原壮一郎さんに聞きました。

「逆説的ですが、『まだまだ自分は大人じゃない』とか『もっと大人になりたい』と思っている人が、大人なんじゃないでしょうか。たとえば、人に何かを頼むときに『恐れ入りますが』と前置きしたり、名刺を出すときにもいろんな作法を気にしたり、大人の世界にはややこしいルールやマナーがたくさんあります。20歳くらいだとそういうのが窮屈で面倒くさいものに見えると思うんですけど、それを『そんなのくだらない』と片づけてしまうと、結果的に小さくまとまってしまう気がするんです」

マナーやルールの意味を理解して、前向きに活用するのが、大人の振る舞い。大人になるといろんな制約やしがらみが生じるけど、それを「周囲に配慮してガマンする」という発想でしか捉えられないうちは、“小人”でしかない、と石原さん。

「つまるところ、いろんなしがらみのなかで自分が言いたいことを伝えるテクニックが『大人力』。知らない人同士がなんとなく打ち解けたような雰囲気をつくって警戒心を解いた気になったり、内心気に食わない人と一緒に仕事するときにも表面上は円満にして互いのストレスを最小限に抑えたり。大人の処世術にもいろいろありますが、どれも社会のなかで一番ラクチンに過ごすべく先人たちが編み出した知恵。それは他人に合わせるためにあるんじゃなくて、自分のために使うものです」

…なんて言いながらも、こういう心構えで自分らしさを追求し、努力していけば立派な大人になれるかというと、「全然そんなことはない」そうです。

「僕なんか年齢的には大人をやってる時間の方が長くなっていますけど、テクニックとしての『大人力』がつけばつくほど、本当の意味の大人から遠ざかっているところは否めません。ま、そもそも大人なんて養成したり検定したりできるわけがありませんからね。これからも言わなくていいことをどんどん言いながら、大人の脇道を行きたいと思っています」

嫌味に感じさせず、ひと言物申すのも大人力の為せるわざ。むしろ「いつまでも子供心を失わずにいたい」という人こそ、周囲の「大人力」に目を向けてみてはいかがでしょう。処世術が身につくかどうかはわかりませんが、これまで意味がわからなかった年配者の振る舞いを「愛らしい」と思える、懐の深い“大人”になれるかもしれませんよ。
(宇野浩志)

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