超高級美食じゃなかったの?

イベリコ豚がこれほど流通したワケ

2013.07.11 THU

しばらく前までは、食通のあいだでも知る人ぞ知る美食といわれていたイベリコ豚。このスペイン原産の黒豚は、赤身肉の芳醇な旨みと舌の上でとろける脂身で、豚肉好きな日本人のハートにジャストミート。近ごろはメディアでも盛んに取り上げられ、居酒屋のメニューでお目にかかることも少なくない。

ん? ちょっと待て。イベリコ豚って幻といわれるほどの高級食材だったのでは。そんなイージーに食べられるのか。謎だ。これは取材と称し、実際に食べて確かめるしかあるまい。職権乱用といわれようとも。

というわけで、やってきました銀座のスペイン・バル(酒場)『EL CERDO(エル セルド)』。最高級イベリコ豚の様々な部位を、手軽な値段で楽しめると評判のお店である。シェフの野堀さんにイベリコ豚の謎について率直に聞いてみた。

「幻といわれていたのはイベリコ豚の生ハム、ハモン・イベリコのことなんです。もちろんイベリコ豚にもランクはありますが、生肉は比較的安い。そもそもイベリコ豚は加工用の豚として飼育されはじめた品種で、スペインでも生肉を調理して食べるようになったのはごく最近ですね」

ブームのきっかけは、01年にスペインで豚コレラが発見され、ハモン・イベリコが輸出禁止になったことにあるようだ。翌年、安全性が確かめられ解禁となったが、ハモン・イベリコは熟成に2年はかかり、事実上、輸入できない。しびれをきらした輸入業者は、調理用として生肉を日本に持ち込んだ。ところがソテーしてみてビックリ。ジューシーかつしっかりとした旨みで超うまい。というわけで爆発的に広まったというのが真相なのだよ、明智くん。

炭火ステーキとハモン・イベリコを食べ比べてみたが、確かにステーキもうまい。しかし、ハモン・イベリコはやはり特別だった。イベリコ豚はドングリ林で放牧されるのだが、まさに木の実の風味が凝縮された至高の逸品。ハモン・イベリコを食べずしてイベリコ豚を語るなかれ。

※この記事は2007年9月に取材・掲載した記事です

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