メガバンクも続々取引スタート

「人民元建て外貨預金」のメリットは?

2013.09.26 THU


将来的な国際化を見据え、じわじわと規制緩和が進む人民元。今秋誕生する新政府の通貨戦略にも高い感心が寄せられている yoshi78 / PIXTA(ピクスタ)
このところ「中国・人民元建て外貨預金」をめぐるメガバンクの動きが相次いだ。7月23日に三井住友銀行が個人向け人民元建て外貨預金の取り扱いを開始。9月3日にはみずほ銀行が人民元建て外貨預金の最低預け入れ金額を引き下げるなど(普通預金で1万元・日本円で約12万円以上、定期預金で50万元、日本円で約600万円以上)、本格展開に乗り出している。

「メガバンクが人民元建てのサービスを広げているのは、6月1日から外国為替市場で日本円と中国人民元の直接取引がスタートしたことが要因でしょう」こう教えてくれたのは『最新短期金融市場の基本とカラクリがよ~くわかる本』などの著書をもつ金融アナリストの久保田博幸さんだ。

直接取引開始により、取引コスト低下や決済リスクの低減などが期待され、個人でも手が出しやすくなったのだという。成長著しい中国経済を考えれば、やはりここは“買い”だろうか?

「それが、そうともいえません。というのも現状の金利を見る限り、3カ月の定期預金の場合で1%程度。外貨預金にしては金利が低すぎます。外貨預金は為替リスクがともないますから、この程度の金利だと為替の動きによってはすぐに元本割れを起こしてしまいます」(久保田さん)

とはいえ、2005年度の人民元切り上げ以降、人民元の価値はじりじりと上昇。20年後にはさらに大幅な切り上げが行われるとの予測もある。かなりメリットは大きいように思えるが…。

「確かに人民元の切り上げが見込まれているのは事実ですし、投資対象として期待の高い通貨だとは思います。ただし、中国の場合は政府が為替に介入し元安に誘導するなど、当局によるコントロールが度々行われます。さらに、今秋の共産党大会で10年ぶりに国家主席が代わることもあり、新しい政府がどのような為替・金融政策を行うかは未知数。はっきり言って、プロでも読みづらい部分があります。もし、人民元に投資するなら、まずはこうした情報をしっかり集める必要があると思います」(同)

現状ではまだまだ規制も多く、行き先不透明な人民元。ただ、中国の急成長とともに今後ますます注目度が高まることは間違いない。
(榎並紀行)

※この記事は2012年9月に取材・掲載した記事です

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