うま味を凝縮する究極の技

「ドライエイジングビーフ」の美味

2013.09.19 THU


カルネヤの「さの萬熟成牛のビステッカ」(1人前4800円)。赤身の牛肉はふつう固いが、乾燥熟成させることで驚くほど柔らかくなる
イチジクのように鮮やかな断面。口の中で広がるジューシーな肉汁。いやあ、新鮮な肉って本当に美味しいですね。と思ったらそうではない。こちら、1カ月ほど寝かせた肉なんだそうだ。東京・神楽坂、イタリアンレストラン「カルネヤ」のオーナーシェフ・高山いさ己さんは言う。

「いわゆる、『ドライエイジングビーフ』ですね。温度を1~2℃、湿度を70~80%にキープした庫内で、常に風を当てながら1カ月ほど乾燥熟成させた牛肉の赤身です」

乾燥が進むにつれて肉の重量は20%程度減るが、その分のうま味や香りは凝縮されて内部にとどまる。また、表面に生えたカビを削るため、通常の半分程度しか使えない。

「商売的には儲かりませんが、霜降りとは違った牛肉のうま味を味わえる究極の技法です」

生の状態の肉のにおいを嗅がせてもらうと、チーズのような芳醇なにおいがした。

一方で、日本ドライエイジングビーフ普及協会の事務局長・石神 修さんは、「日本でもブームになりつつある」と言う。「もともと、欧米では古くからある技法。彼らにとって肉といえば赤身なので、これをいかに美味しく食べるかという試行錯誤の長い歴史があったんです。数年前までは、業界紙の記者すらよく知らなかったほどです」

ブームの背景には、どんな要素が?

「管理の手間や採算性の低さといった障壁はあるものの、魅力は何といっても味。肉の柔らかさ、うま味、香り、どれを取っても最高ですよ。脂肪分が少なく、ヘルシーなのも人気の理由のひとつです」(石神さん)

昔から日本の農村にいた赤身の短角牛は、黒毛和牛などに押されて生産が激減していた。しかし、ドライエイジング技法が注目を集めるに従い、北海道、岩手、高知などで生産を再開する農家も増えているそうだ。

いやあ、本当に美味しかった。(牛だけに)モー1回食べに行きたいです。
(石原たきび)


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