食通を唸らす味わい。口いっぱいに魚の芳香が広がる

濃厚な旨み「熟成寿司」が気になる

2013.11.07 THU


熟成には小さな魚は向かない。写真は2週間熟成させた黒ムツの握り(手前)と金目鯛(左)。右上は、3週目に入ったヒラマサの砂擦り 画像提供/新宿3丁目「すし礎」
寿司といえばネタの活きの良さが勝負、と信じて疑わない方も少なくないと思う。しかし昨今、グルメな方々を唸らせているのは2週間寝かせた本マグロや、10日間寝かせたアオリイカなどの“熟成寿司”だという。生魚を何日も寝かせて美味しいの!? てか、それ以前に腐らないの!? さっそく、熟成寿司なるものを食しに出かけてみた。

「そもそも魚の熟成とは、たんぱく質がアミノ酸に分解されて旨みが出てくるようになった状態」

とは、「鮨處やまだ」の店主 ・山田裕介さん。

「刺身で白身魚を食べるときにはコリコリした食感を楽しみにされる方も多いと思います。しかし多くの寿司屋ではシャリと相性のいい食感になるまで魚を寝かせます。この、もともと寿司屋がやっていた仕事をさらに進めて、食感と旨みのバランスを見極め、魚が本来持っている美味しさをとことんまで引き出したのが“熟成寿司”です」(山田さん)

なかにはネタを2~3週間寝かせる店も。熟成の方法は、塩締め、昆布締め、酢締めから、低温保存や真空保存など、店や素材によって様々だという。

「時間をかけて細胞を分解させるためには、腐敗につながりやすい血が身に含まれていると困難。締めるときに血抜きなど的確な処理がなされた魚であれば大抵の素材で長期熟成が可能です」(「すし礎」店主・菅谷勇さん)

実は熟成寿司を出す店は4~5年前からあるそうだが…。

「熟成牛肉のブームの影響で近年、熟成寿司にも注目が集まっているのでは?」

とは菅谷さん。実際食べてみると、口に入れた瞬間にまずはふわっと魚の芳香が広がる。肉はとろとろかと思いきや、柔らかいけど歯ごたえはあり、魚の旨みが口いっぱいに。この旨みは最後まで濃厚で、食べ終わっても後を引く。寿司の固定観念を覆す熟成寿司、体験してみてはいかが?
(駒形四郎)


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