身体にまつわる都市伝説 第80回

左利きには天才が多いって本当?

2014.01.09 THU

身体にまつわる都市伝説


文字を書く、ボールを投げるといった高度な作業に利き手ではない方の手を使うことは、我々が思っている以上に脳や体にストレスをかけているのだとか 写真提供/PIXTA
野球選手のプロフィールに「右投げ右打ち」などと表記されるように、人には必ず利き手というものがある。一般的には右利きが多数派とされるだけに、左で文字を書いたり箸を持ったりする人がいると、妙に目に留まるものである。

かくいう筆者は純然たる右利き。巷でよくいわれる「左利きには天才が多い」という説を耳にするたびに、少々残念な思いがしてならないのだが…。これは本当なのだろうか? 池袋スカイクリニックの須田隆興先生に聞いてみた。

「生物学的な根拠を求めるのは難しいかもしれませんが、これはあり得ると私は思いますよ。いわゆる天才とはちょっと異なるかもしれませんが、左利きの人が後天的に才能を鍛えられる要素はあるのではないでしょうか。世の中にある道具の大半は右利きの人向けに作られているため、左利きの人は必然的にトレーニングの頻度が多くなるからです」

確かに、駅の自動改札は右手に切符を持つことを前提とした作りになっているし、ハサミだって右手で使う構造の物が主流だ。多くの道具が右利き用に作られているといっても過言ではないだろう。

「そもそも指先というのは、運動機能の面でも神経学の観点でも、緻密極まりないものです。そのため、手を使うという行為自体、良い意味で脳に大きな負荷を強いています。たとえば左利きの人が右利き用の道具を使う際には、“どう対応すべきか”という思考や検証が発生します。つまり、先天的に左利きの人は、幼い頃から自然に脳がトレーニングされてきたと考えられるでしょう」

ちなみに、左利きに天才が多いといわれる理由のひとつには「右利きの人は言語機能の優位半球が左脳にあり、左利きの人は右脳にある」という説が影響したと考えられる。ただし、近年の研究によると、左利きであっても、およそ7割の人の言語機能中枢は左脳にあることが判明しているそうだ。そして、残り3割のうち約2割が右半球に、1割が左右両方に言語機能の中枢を持っているという。

また、幼少期から鍛錬された脳が、常人とは違ったポテンシャルを発揮する…というのはいかにもありそうな話だが、文字を書いたりボールを投げたりといった高度な作業を非利き手で行うことが、心理的な問題につながりかねない過度のストレスを与えてしまう危険も指摘されている。

利き手と脳の機能には、まだまだ解明されていない部分が多いのだ。
(友清 哲)

※この記事は2012年01月に取材・掲載した記事です

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