今の会社にずっといる自信はないけど…

転職前に組む住宅ローンのリスク

2014.01.30 THU

住宅取得に関する相談を受けていると、たまにいるのが、「これから転職をしようと思っているんですが、その前に住宅ローンを組んで家を買ってしまおうかと考えています」という人。

確かに、民間の銀行等が取り扱う住宅ローン商品は、「勤続年数3年以上(自営業の場合は営業年数5年以上)」などといった要件を満たさないと、借りられないのが通常です。転職してしまった後では、少なくともそれから3年以上経過しないと住宅ローンが借りられないことになるので、転職前に買ってしまおうと考えるらしいのです。

しかし、転職前に住宅取得を決めてしまって本当によいのでしょうか。住宅ローンを組めるかどうかよりも、きちんと返せるかどうかの方がよほど重要なことなので、住宅ローンが組めるうちに早く買ってしまおうと考えるのは、ファイナンシャルプランナーとしてはあまりおすすめできません。

どうしても買いたい物件が見つかってしまった場合でも、転職後の収支状況を冷静に見積もったうえでの決断でない限り、やはりリスクが高いのではないかと思われます。

そもそも、転職後の収支状況を冷静に見積もること自体、なかなか難しいもの。一昔前に比べれば、転職は容易になっているかもしれませんが、昨今の経済情勢からすると、転職によって年収が減るケースの方が多いくらいかもしれません。また、転職した会社の業績がその後どう変化するかを正確に見通すのは困難ですし、長く働いていける職場環境なのかも、外から見ているのと、なかで働いているのとでは、感じ方が違うこともあるでしょう。

結論としては、転職の可能性があるという時点で、住宅取得についてはしばらく様子を見た方がよいと思います。仕事の状況や家計の状況が落ち着き、ある程度将来の見通しが立つようになってから、あらためて検討すればよいでしょう。それまでは、じっくりと頭金準備を進めてください。

貯蓄を増やせば増やすほど、住宅ローンの借入金額を抑えることができますし、転職後に想定外の事態が起きても、貯蓄がある分だけ金銭的に対応できる余力がつくことになります。転職前後の数年は、しっかりと貯蓄する時期だと割り切って考えるのもひとつでしょう。

なお、「フラット35」の場合は、勤続年数についての要件がないので、転職して間もない時期でも融資を受けることは可能です。ただし、転職後の収入をもとに融資可能額などを算出することになっているので、少なくとも数カ月程度の給与明細を持っていかないと、審査してもらえないでしょう。転職後何カ月以降なら審査可能なのかは、住宅金融支援機構では定めていないので、取扱金融機関によって異なるようです。どうしても早くローンを組んで買いたいという場合は、金融機関等に問い合わせをしてみてください。

繰り返すようですが、転職してすぐに住宅ローンを組むのは、リスクが高いと思われます。転職先の会社について、報酬面だけでなく、職場環境を理解したうえで、将来の見通しが立つか見極めることが大切です。住宅ローンの返済期間が長期になるのであれば、なおさら10年先、20年先をある程度見通せる状況になってから決断すべきでしょう。「急いては事を仕損じる」といわれるように、慎重に検討した方が無難です。
(ファイナンシャルプランナー菱田雅生)

※この記事は2012年06月に取材・掲載した記事です

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