身体にまつわる都市伝説 第179回

「ピッチャーの肩は消耗品」に異論

2013.12.16 MON

身体にまつわる都市伝説


ピッチャーが自らの肩を「消耗品」とするかどうかは、フォームチェックや試合後のケアなど、日頃の努力次第なのかもしれない 写真提供/PIXTA
楽天優勝の立役者、田中将大投手のメジャー入りが取り沙汰されている。日本のトップ選手が本場で活躍するのは誇らしいが、一方で同投手が日本で“投げすぎている”ことがネックになるのでは、とも話題になった。海外では、ピッチャーの肩は投球数に応じて消耗するという意識が強く、日本のファンが期待しているほど本場では歓迎されない可能性があるというのだ。

多くの感動を与えてくれた我が国のヒーローを、まるで欠陥品のようにいわれるのは面白くないが、人の体、とくに関節というのはやっぱり消耗品なのだろうか? 新宿ライフクリニックの須田隆興先生に聞いてみた。

「ピッチャーの肩の故障は、“野球肩”もしくは“投球障害肩”という医学的な病名まで存在する、れっきとした関節障害のひとつです。これはボールを投げる動作のなかで、何らかの理由によって局所的に負荷がかかりすぎることで発症するものです」

須田先生によれば、これは野球だけにかぎらず、ハンドボールなどボールを投げる動作をともなう競技全般に見られる症状だという。

「投球というのは下肢と上肢を連動させて行う動作ですが、この際、体のゆがみや筋肉の偏りなどから協調性が阻害されてアンバランスになり、部分的な負荷が高まることはあり得ます。こういった負荷が繰り返されたり、筋肉の持久力を上回ったりすれば、関節や腱を傷つけてしまうケースもあるでしょう。様々な要素が複雑に絡み合い、ピッチャーは常に、関節がオーバーストレス障害を起こすリスクを抱えているといえます」

現実的に、限界ギリギリの戦いを強いられる厳しいプロの世界で、ピッチャーが理想的なバランスを保ったまま投げ続けるのはほぼ不可能だろう。

「ただし医学的には、そういった局所的な負荷のかからない、完璧な動作を保ち、適度な休息を取るのであれば関節障害は避けられるといえます。投げることで“肩をつくる”と表現されるのは、まさにそのケースですね」

どんなスポーツでも、最初に地道な練習で正しい“型”を教え込まれるのは、自分自身の体を長持ちさせる意味があるわけだ。
(友清 哲)

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