新成人“オトナ力”ガイド

日本の「成人力」世界一のワケ

2014.01.07 TUE

新成人“オトナ力”ガイド


24カ国・地域の約16万人が調査に協力。「ITを活用した問題解決能力」については、パソコンを使用したコンピュータ調査のみに絞ると、日本は1位。ただし、パソコンを使わず紙で調査を受けた人を母数に含めると、ほぼOECDの平均並みの10位に転落する。 図版制作/tento

先進国24の国・地域中で日本が成人力トップ!?



先日、先進国が加盟するOECD(経済協力開発機構)が、1回目となる「国際成人力調査」(以下PIAAC)の結果を発表した。16歳から65歳までの男女を対象に、「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」を測るという同調査。各国が国民の能力を把握し、雇用の確保や政策に活かすことを目的に実施されたものだ。具体的な調査の中身について、日本でPIAACを取り仕切る、国立教育政策研究所の向後明希子さんに伺った。

「今回の調査では、成人に求められる「読解力」などの能力の習熟度を、社会生活で必要とされる場面を想定した問題を使って調査しました。例えば、『電話のかけ方の説明書を読んで、指定された相手に電話する』や『食品成分表を見て、1日の許容摂取量を答える』といった設問が用意されています」

なお、調査にはOECD加盟国を含む24の国・地域が参加しているが、「読解力」「数的思考力」においては、なんと日本が参加国の平均点を大きく上回るダントツの1位を獲得している。日本人の「大人力」は思いのほか高いようだ。

この順位について向後さんは、「他の国際調査で平均点が高い北欧の国も含まれているため、1位という順位は驚きだった」と語る。日本人としては誇らしい限りだが、いったいなぜここまでの差が生まれたのだろうか?

「PIAACの問題自体は、基本的に学力を試すものではありません。とはいえ、やはりベースとなる基礎学力も関連しているのではないでしょうか。他国では自治体ごとにカリキュラムを組むこともあるため、学ぶ内容やレベルにムラがあるケースもあります。一方、日本は義務教育で学ぶ内容が全国で統一されているため、ひとりひとりの基礎学力の差が小さいということがいえます」(向後さん)

向後さんによれば、日本は難易度が中レベルの問題ができている人が多く、年齢や職業を問わず全体的にレベルは高いが、難易度の高い問題をクリアした人は北欧諸国などと比べると少なかったという。

「今回の調査でいう『成人力』とは、分かりやすくいうと『仕事や社会生活において、自分の頭で考え、答えを導く能力』のこと。そのため、これを学べば点数が上がるという明確なものではありません。できることがあるとすれば、日常生活の様々な場面ですぐに答えを知ろうとせず『これはどういうことだろう?』と疑問を持ち、自分なりに考えて答えを出すという訓練が成人力を高めることにつながるのではないでしょうか。あとは、学んできたことに自信を持って、当たり前のことを当たり前にやることです」(向後さん)

今はネットで検索すれば、簡単に答えが手に入る時代。だからといって、便利さに甘えることなく、自分の頭をきちんと働かせることが大事なのですね。最後に、向後さんにとって大人ってどんな人ですか?

「相手の立場や状況を考えて助け合うことができる人でしょうか。社会に出たら協力し合わないといけないことがたくさんあります。そんな時に独りよがりにならずに、周りの空気を読みながら、さっと手伝ってくれる人は大人だなって思います」

「私もいつもできているわけじゃないですけどね」という向後さんだが、終始笑顔を絶やさずに、筆者にも気を配りながら取材に応じてくれた。そんな素敵な大人に私もなりたい…。
(末吉 陽子/やじろべえ)

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