気をつけないと、引っ越し時に不利になる!?

敷引特約有効判決!敷金のキホン

2014.03.07 FRI


部屋を借りる際に発生する敷金(保証金)。一般的に家賃1カ月分か2カ月分に設定され、初期費用としては大きな負担となる。そもそも敷金とは、滞納した家賃の補填や借主の落ち度によって損耗した部屋の補修費として預け入れるもの。落ち度がない限り退去時に全額返却されるのが原則…なのだが、貸主、借主側の言い分が食い違い、トラブルとなるケースが後を絶たない。とくに関西圏には、借主に落ち度がない場合でも「自然損耗の修繕費用」として一定金額を敷金から差し引く「敷引特約」なる慣習が根付いていて、これを巡る裁判が頻発しているのだ。

「敷引特約はもともと関西独特の慣習として生まれたものですが、関東・名古屋の一部・福岡などでも『敷金償却』という名目で同様の特約がみられます。例えば『敷金2カ月、償却1カ月』などと定めるもので、無条件で敷金の1カ月分が差し引かれるという点は敷引特約と同じです」(賃貸管理コンサルタントの新井昭光氏)

だが、そもそも経年変化によって生じる損耗については毎月の家賃から負担するのが原則であり、このような特約が慣習化していること自体に疑問を唱える声も少なくない。

そんななか、先日この敷引特約の有効性を巡る裁判で、注目の判決が下された。最高裁が「特約は不当に高額でない限り原則有効」との判断を示したのだ。最高裁が特約の有効性を示したのは今回が初めて。この判例を背景に、今後、敷引特約を導入する不動産業者は増えていくのだろうか?

「いえ、じつは全国的に敷引制度は減少傾向で、関東のような『敷金礼金制度』が主流になっています。これは本場の関西も同様で、すでに多くが『敷金礼金制度』に移行しているため、今回の裁判で家主側が勝訴したからといって敷引制度の復活につながることはないと思われます。ただし、関東の礼金と、最近使いだした関西の礼金は性質が違います。関東では礼金の他に原状回復費用が敷金から差し引かれますが、関西では礼金のなかに原状回復費用を含んでいるため、敷金から差し引かれることはありません」(同)

そのためか、関西の礼金は関東に比べて割高に設定されているようだ。借りる側にとってはややこしいことこの上ないが、ところ変わればルールも変わるということ。後々のトラブルを避けるためにも、見知らぬ土地で部屋を借りる際には契約書の段階で念入りに確認しておく必要がありそうだ。
(榎並紀行)

※この記事は2011年5月に取材・掲載した記事です

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