地震の後で気がついた

壁のヒビ 負担は貸主?借主?

2014.03.21 FRI

先日の東日本大震災で、比較的被害の小さかったエリアでもよく聞かれたのが、「薄型テレビが倒れた」とか、「本棚から本が飛び出た」という話。さらにそれらの落下物によってフローリングに大きなキズがついてしまったとか…。また、「壁にひびが入った!」なんていうケースもあった。これらは自然災害によるものだから、借主に修繕の責任はない! といいたいところだけれど、実際はどうなの?

「たしかに、地震による部屋の破損は故意ではないので、貸主の負担になるのが一般的です。しかし、それがすべてのケースに当てはまるわけではありません」

そう答えてくれたのは、NPO日本住宅性能検査協会理事長の大谷昭二さん。貸主の負担になる場合と、借主の負担になる場合では違いがあるという。

「例えば壁にひびが入った、ドアのたてつけが悪くなった、窓ガラスが割れた、といったケースは、はじめから部屋に備え付けられていた設備が、部屋の構造上の問題で破損したものなので、貸主の負担と考えられることが多いですね。しかし、借主が部屋に持ち込んだ何かが倒れたり、棚から落下して部屋の一部をキズつけた場合には、借主の負担になります。事前に予見し、防止できる範囲の破損でもありますから」(同)

友人は、あわてて自分で業者に連絡し、壁のひびを修理してしまったそう。後からその費用を貸主に請求することはできるのだろうか?

「それは難しいですね。そのひびが本当に震災によってできたものなのか、証明が困難でしょう。部屋の修理については、まず貸主や管理会社に連絡をして、『これは貸主負担で修理します』という了解を得てから行うのが原則です。さらに気をつけなければならないのは、最近では、『空き巣が多いので、鍵を変えたい』とか、『ベランダの柵が壊れて危険なので修理したい』といった、生活の安全を守るために必要な『必要費』さえ、契約の段階で『負担しない』としているオーナーも少なくないらしいこと。皆さんも、契約書を確認してみてください。これは、先の地震によるひびやドアの修理費なども同様です。とはいえ、一切の負担をしないというわけではないでしょうから、あとは各々の関係や、貸主の誠意によります」(同)

震災による破損の修理費用は、全住人から一斉に貸主へ請求される可能性も高く、貸主側としてもすべての費用を負担するのは現実的に厳しいという事情もあるのかもしれない。

ともあれ、家具等の転倒は、部屋のレイアウトの工夫や市販の転倒防止シートなどでも予防できること。まずは、身近でできる地震対策をしておくのがよさそうだ。
(内藤香苗/クレッシェント)

※この記事は2011年05月に取材・掲載した記事です

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