生まれ変わる共同住宅

リノベーションで団地再生に

2014.04.01 TUE


高度経済成長期、大都市部や近郊ベッドタウンには大型の団地が次々と建設された。現在、その多くは老朽化し、建て替えの時期を迎えている。また、住民の高齢化という問題を抱える団地も少なくない。そこで最近では古い建物を改築するだけでなく、内装を現代風にリノベーションしたり、共用部に新たな魅力を加えるなどの全面的なリニューアルを施すことで、新規住民の獲得を狙うケースが増えているようだ。

大阪府堺市の「向ヶ丘第一団地」は、老朽化した3棟の建物を改修した「再生団地」。開放的なリビングと半屋外のテラスをもつ「ガーデンテラスタイプ」やロフトのある「メゾネットタイプ」、若年女性がシェアして暮らすことを想定した「ミングルタイプ」など、ライフスタイル別に様々な住戸タイプが用意されている。

一方、7月にオープンした「AURA243 多摩平の森」(東京都日野市)も、築50年の公団住宅「旧多摩平団地」の一部をリニューアルしたものだ。住戸タイプは17.9坪の専用庭がついた「ヤードハウス」と、若いカップルを想定した1LDKの「ひなたぼっこハウス」。無垢パイン材を使用した明るい雰囲気のフローリングや、ゆったりと大きいキッチンは、古い団地の狭苦しいイメージを一新するものとなっている。

また、新たに誕生した共用スペースも魅力のひとつだ。全45区画の貸し菜園「ひだまりファーム」や、小屋つきの貸し庭「コロニーガーデン」、イベントも開催できる「AURAハウス」など、住人同士が集い、自然に言葉を交わす場が用意されている。昭和の団地然とした、温かい交流の機会も増えそうだ。

こうした団地再生事業に取り組むUR都市機構は、その意義をこう語る。

「昭和40年代までの公共団地は、夫婦や子育て世帯といった核家族をターゲットにしていたため、住戸面積や間取りのバリエーションが限られていました。URが取り組む『ルネッサンス計画』などの団地再生では“面積の拡大”“部屋数を減らして大きめのリビングに間取り変更”といったリノベーションを行うことで、現代の多様なライフスタイルに対応することができます。これまで古い団地に住むという選択肢がなかった若い方にも、団地の魅力を再発見してもらいたいですね」

成熟したコミュニティや歴史を刻んだ豊かな自然環境など、歳月を重ねた団地には他の共同住宅にはみられない固有の価値があるという。次に引っ越すなら、懐かしくも新しい団地生活を視野に入れてみては?(榎並紀行)

※この記事は2011年07月に取材・掲載した記事です

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