ポイントとなるのは「敷金」の定義

プロに任せる! 敷金返還代理人

2014.04.11 FRI


賃貸住宅を退居するときに気になるものといえば敷金の行方。少しでも多く返ってきてほしいところだけど、とはいえ交渉するのもなかなか面倒なもの。そこで、最近では弁護士などが敷金返還交渉を代理で行うサービスが増えてきているのだとか。しかし、いくら法律の専門家が代理で交渉するとはいえ、金額が大きく変わることはあるのだろうか? 敷金返還代理サービスを行う司法書士法人中央グループの代表・原田康伸さんにうかがってみると「10万~20万円の差が出ることも珍しくない」とのこと。

「敷金は原則返ってくるものですが、部屋の損傷に対し借主が原状回復を負担するという意味で敷金から差し引かれるケースがほとんどです。ただしこの『原状回復』の認識を貸主が間違えていることが多く、本来借主が負担する必要のない費用を請求されているケースが多いんですね。そこで私たちが、国土交通省のガイドラインに基づいて、適切な負担額を計算していきます」

国土交通省の発表したガイドラインによると「原状回復とは賃借人が借りた当時の状態に戻すことではなく、賃借人の故意・過失などによる消耗を復旧する」こと。つまり、住んでいる限り避けようのない消耗は借主ではなく貸主が負担するべきなのだが、避けようのない消耗まで借主が負担する場合が多いようなのだ。

「たとえば畳の表替えや、日焼けによる壁のクロスの張り替えなどは借主が負担する必要はありません。また、クリーニング代も原則貸主の負担で、たとえ契約書に借主が負担するよう明記されていても事前の説明が不十分であれば拒否することも可能です」(原田さん)

反対に、タバコのヤニによる壁のクリーニングや雨の吹き込みで畳がダメになった場合などは借主が負担することになるが、その場合も全額を負担するのは適切ではないとのこと。住んだ年数によって借主の負担額は減少していくことがガイドラインに明記されている。

ちなみに、敷金返還代理人に依頼を行うのは、貸主立ち会いのもとで部屋の内見を終え、借主が負担する原状回復費用の見積もりをもらってから。代理人は見積もりの項目と金額、あるいは部屋の写真などを見ながらそれらが適切かどうか査定していく。妥当な金額を算出したら代理人が貸主に直接交渉。折り合わなければ裁判へと持ち込まれるが、ほとんどの場合はこの交渉でまとまるようだ。ただし、このような代理サービスを行えるのは弁護士か簡裁訴訟の代理権を持つ司法書士のみ。また、交渉は行わないが書類作成のみの代理サービスを行う行政書士もいる。

敷金の返還額が増えるならぜひとも利用したいサービスではあるが、とはいえ依頼料もそれなりにかかるはず。返還額にあまり差がなかったときのことを考えると、骨折り損のくたびれもうけでは…?

「代理サービスの多くは成功報酬制。当初の見積もりと交渉後の額から差額を出し、そのうちの10~20%を依頼料とする機関が多いです。当社は裁判前までなら一律2万9400円を頂いていますが、交渉してもそれほど額が変わらなそうな場合は事前に必ず説明し、場合によっては辞退していただいています」(同)

もちろん、貸主が提示してきた最初の見積もり額が適切な場合もある。代理サービスに依頼しようか迷った場合は、無料相談などを行っているところもあるので、まず見積もりの額が正当性かどうか確認してみるのがよさそうだ。
(河合力)

※この記事は2012年4月に取材・掲載した記事です

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