高い高いというけれど…ホント?

実は安い?「日本の人件費」裏事情

2014.04.03 THU


ミャンマー「ミンガラドン工業団地」の日系縫製工場。人件費は中国の1/10ともいわれ、今後は自動車などの工場も増えると予想されている 画像提供/時事通信社
「日本は人件費が高いから、仕事を海外に取られる」という台詞を聞いたことがないだろうか。一見、なんの違和感もないようだが、34の先進国が加盟するOECDの2010~12年の資料によると、全産業の一人あたりの労働コスト(人件費)は、なんと18位。昨年、経済危機が騒がれたイタリアやスペインをも下回っているのだ。それなのになぜ、日本の人件費は高い印象があるのか?

『日本経済の鉱脈を読み解く 経済指標100のルール』などの著者、明治大学国際日本学部の鈴木賢志教授に尋ねたところ、「日本の人件費は高いけれども、安い」のだという。

「正確にいえば、日本は円の力が強いので、“為替レート換算”では、新興国などに比べると人件費は高い。でも、他国に比べると物価が高いので、“購買力平価換算”で見ると労働コストは国際的にも安くなるんです」

実際、今回18位だったデータは、“購買力平価換算”されたもの。外国の企業が日本の賃金水準の給料を円で払うとなると、為替レート上、現地通貨では割高(=日本人の人件費は高い)に感じられるわけだ。

しかし、ランキング上位の国だって、フランスやノルウェーなど、日本と同程度か、それ以上に物価が高い国もある。それなのに、なぜ“購買力平価換算”で見たときに、日本よりも人件費が高いのか。

「要因のひとつに、社会保障費の影響があるでしょう」と鈴木教授。人件費には、手取り賃金だけでなく、天引きされる社会保険料や福利厚生費も含まれる。北欧諸国やフランスなどは、社会保障費が高いので、その分賃金の額面も増え、結果として人件費が高くなっているのだ。

円安基調にある今、“購買力平価換算”だけでなく、“為替レート換算”での日本の人件費も安くなる可能性が高い。近い将来、「日本は人件費が高い」は過去の話になっているかもしれない?


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