身体にまつわる都市伝説 第196回

牛乳を飲むと下痢になる理由は?

2014.04.21 MON

身体にまつわる都市伝説


日本人には牛乳を飲むと下痢をしやすい体質の持ち主が多いのは事実。しかし、決して栄養を吸収できていないわけではないので誤解なきよう 写真提供/PIXTA
手軽にタンパク質やカルシウムを摂取できる栄養源として、日本の食卓に浸透している牛乳。毎日の朝食時や風呂あがりなどに愛飲している人も多いだろう。

しかし、なかには「牛乳を飲むと腹を下す」という人もいる。もっといえば、「牛乳は日本人の体質に合っておらず、飲んでも栄養を吸収しにくい」という風説まである。本当だろうか? 新宿ライフクリニックの須田隆興先生に聞いてみた。

「牛乳を飲んでも栄養にならない、というのは間違いです。ただ、アジアを含む欧州以外の地域の人々には、牛乳に含まれる多くの栄養素のうち、乳糖を分解しにくい傾向があるのは事実といっていいでしょう。具体的には、乳糖の分解酵素であるラクターゼが体質的に分泌されにくい人のことで、これを医学的には『乳糖不耐症』と呼びます」

牛乳を飲んで下痢をすることがあるのも、この乳糖不耐症に原因があるのだと須田先生は解説する。

「ラクターゼが不足すると、分解し損ねた乳糖が胃腸の中に残留することになります。乳糖には水分を引き寄せる性質があるため、軟便になりやすいわけです」

では、なぜ欧州の人にそういった体質の持ち主が少ないかというと、これには長年にわたる食文化が影響しているそうだ。

「欧州ではもともと魚を食べる機会が少ないため、魚に多く含まれるビタミンDの摂取量が慢性的に不足しがちです。ビタミンDはカルシウムの吸収に働きかける成分ですから、これが不足するとカルシウムを十分に摂取できません。しかし、乳糖もまた、カルシウムの消化吸収を助ける作用を持っており、ビタミンDの代わりになります。結果として、ラクターゼの分泌能力が高く、乳糖を使ってカルシウムを摂取しやすい体質の人が健康を維持し、優先的に生き残ってきた歴史があると考えられているんです」

いずれにせよ、牛乳が貴重な栄養源であることは間違いない。須田先生によれば、日本人でもコップ1杯程度の牛乳で腹を下すケースは少ないそうなので、自分が飲める量を見極めて飲むようにしよう。
(友清 哲)

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト