身体にまつわる都市伝説 第98回

お酢を飲むと体が柔らかく=ウソ

2014.05.16 FRI

身体にまつわる都市伝説


関節可動域を広げるための治療に、食事療法は存在しない。お酢で体が柔らかくなるというのは、完全なる都市伝説なのであった 写真提供/PIXTA
運動をするには良い気候になってきたが、冬の間にすっかりなまった体は、準備体操の時点で悲鳴をあげる…。そうでなくても昔から、体が硬いことに悩んでいる筆者。体は柔らかい方がケガをしにくいというし、運動前には入念なストレッチが欠かせない。

ところで、昔から「お酢を飲むと体が柔らかくなる」という噂をよく耳にする。もしも、面倒なストレッチなしで柔らかい体が手に入るのであれば、これほど楽なことはない。果たして、真相はどうだろう!?

「これは完全に都市伝説でしょうね。体が柔らかいというのは、各関節の可動域が広いことを意味していると思いますが、関節は年齢を重ねて運動量が落ちていくにつれ、どうしても固まっていくもの。そのためお年寄りは転倒したりするリスクが高まるわけですが、これに対する食事療法というのは一切存在しないんですよ」

そう解説するのは、池袋スカイクリニックの須田隆興先生だ。では、なぜお酢にこのような風説がついてまわるようになったのだろう?

「おそらく料理の世界から始まったのではないでしょうか。たとえばマリネなどもそうですが、食材としての肉を柔らかくするために、お酢に浸け込んでおく手法が一般的にも知られていますよね。その意味では、人間の肉体だってお酢に浸けておけば同じように柔らかくなると思われるかもしれませんが、残念ながら生体と死体では防御機能がまったく異なりますから、マリネのようにはいかないんです」

人間の体には、外部の成分をやすやすと受け入れない防御機能が備わっている、と須田先生。また、浸けおくことと口から摂取することの違いも大きいという。

「口から摂取したものは、消化管に入って細かく分解され、取り込むべきものは腸壁から吸収され、そうでないものは体外に排泄されます。その過程で成分自体が変成されますし、やはりお酢を飲んで体を柔らかくすることには無理があるんですよ」

う~ん、やはりそう甘くはないようだ。とはいえ、お酢は消化酵素の働きを活発化させるなど、健康にいいのは事実。適度な摂取を心がけたい。
(友清 哲)

※この記事は2012年5月に取材・掲載した記事です

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