自由にとれる権利では…

有給を拒否されたら違法?

2014.05.19 MON


「有給をとって、いざバカンス!」といきたいところですが… 画像提供/PIXTA
そろそろ行楽シーズン到来で、旅行プランを練っている人も多いのでは? 「金曜に有給休暇をとって3連休で遠出しよう」なんて、よくある話ですよね。ところがここで問題発生! 有給を申請したら、上司から「その時期は忙しいからダメ」と言われてしまった…なんて経験はないでしょうか?

有給休暇の取得に関しては、労働基準法39条5項で、「労働者の請求する時季に与えなければならない」と定められており、基本的には、会社の承認等を経ることなく自動的に取得することができるものとされています。

「じゃあ、会社が拒否するなんて違法じゃないか!」と思うかもしれませんが、それは勇み足。同項のただし書きでは、「事業の正常な運営を妨げる場合」には、会社がその指定された日を他の日に変更することができる、とされています。つまり、「その時期は忙しいからダメ」という上司の判断は、必ずしも不当とは言えないのです。

そこで問題となるのが、「事業の正常な運営を妨げる場合」とはどんな場合か、という点。行政解釈では「事業の正常な運営を妨げる場合とは、個別的、具体的に客観的に判断されるべき」とされており、会社の業務の状況等から総合的に判断するものとされています。例えば「全員が同じ日に有給を申請」したら、それは「事業の運営を妨げる」と会社が判断しても無理はない、という話です。

ほかに、たとえば、(1)使用者が通常の配慮をしても替わりの者を見つけられず、勤務割の変更をすることが客観的に可能な状況になかったと判断しうる場合、(2)短期間で集中的に高度な知識・技能を習得させる訓練の日程と有給の指定日がかぶってしまった場合、なども他の日への変更が許されます。

では、許されないのはどんな場合でしょうか?

たとえば、(3)常に人手が足りないにもかかわらず、代替要員の確保や勤務割の変更等の努力をおこなわなかった場合、(4)有給休暇の取得目的が会社の意に沿わないという理由で休暇を認めなかった場合、などがこれにあたります。

つまり、常に人手不足の会社が、「人手が足りないから」という理由で有給申請を拒否することはできません。これを認めてしまうと、会社は常に有給を拒否できることになってしまい、有給休暇制度の意味がなくなってしまいますから。

ただ、いくら権利があっても、同僚の迷惑も顧みず、好き勝手な時期に有給を取得しようとするのは慎むべきでしょう。一方、会社側は、従業員が有給を取得できるよう、勤務割を工夫したり、工程管理をしっかり行わなければなりません。労使相互が有給を取りやすい職場環境を作っていくことが大切です。

なお、最後に1つご注意いただきたいのは、会社は有給申請を「別の日」にするよう求められるだけで、有給申請自体を拒否できるわけではありません。万が一、上司に「忙しいからダメ」と拒否されただけで会話が終わっていれば、それは「違法」と覚えておきましょう。

※この記事は2013年5月に取材・掲載した記事です

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