身体にまつわる都市伝説 第150回

「歯」って再生できないの?

2014.05.22 THU

身体にまつわる都市伝説


歯のエナメル層は、日常的に「脱灰」と「再石灰化」を繰り返している。しかし、一度虫歯を患い、欠けてしまった歯が自然に再生することはあり得ない 写真提供/PIXTA
幼い頃から歯磨きが下手で、虫歯の絶えない子どもだった。口を開けば銀歯がのぞくのは、子ども心にもなんとなく格好悪くて、永久歯に生え替わった時には、今度こそ歯を大切にするぞと誓ったものだ。

しかし、大人になってからも虫歯と無縁ではいられず。健康なまま保っている人を見ると、うらやましくてしょうがない。虫歯になった歯というのは、もう二度と再生しないのだろうか? 「歯の再石灰化」という言葉を聞いたことがあるが、これによって再び健全な歯を取り戻すことができる可能性はないのか。あおぞら歯科クリニックの岡田崇之院長に聞いてみた。

「歯の表面は、エナメル質という硬い層で覆われています。このエナメル質からミネラル分が溶け出してしまう現象を『脱灰』、逆にエナメル質にミネラル分が再び取り込まれる現象を『再石灰化』と呼びますが、歯はこの2つを繰り返しています。ただしこの再石灰化というのは、あくまで溶け出したミネラル分を補完するレベルのことで、虫歯で穴があいてしまったエナメル層を元通りにするようなことはできません」

岡田先生によれば、脱灰とは口のなかの細菌が発生させる酸が起こす現象で、それを唾液に含まれるリン酸カルシウムが修復してくれるのが再石灰化だという。いずれも歯において日常的に起きている現象だが、これによって欠けた歯が再生することはあり得ない。

でも、最近は再生医療も進んでいるし、再石灰化による再生は無理でも、将来的には一度失った歯を取り戻すことも可能なんじゃ…。

「まだまだ研究途上のジャンルではありますが、再生医療のなかでも歯は再生が難しい部位とされています。皮膚や粘膜は組織構造が比較的シンプルで培養しやすい面がありますが、これに対し歯というのは、歯髄と呼ばれる内部の神経や、歯の本体を構成する象牙質をはじめ、皆さんが思われている以上に複雑な構造でできています。発生学的にも、ばらばらに生まれたパーツが組み合わさってできた部位とされ、当面、人工的に再生させることは困難のようですね」

うーん、残念。ということは、やはり今ある歯を大切に守っていくのがベスト。皆さんもお気をつけて。
(友清 哲)

※この記事は2013年5月に取材・掲載した記事です

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