「自転車通勤禁止」の場合も…

自転車通勤の事故は労災対象?

2014.06.29 SUN


一時のブームにより、通勤手段のひとつとして定着した自転車。一方で、事故などの危険性からか自転車通勤を禁止する企業もあるという 写真提供/PIXTA
通勤中の事故は、ビジネスマンならいつ遭遇してもおかしくないもの。たとえば最寄りの駅まで自転車で通っていた場合。「自転車で事故に遭ってしまったが、会社では自転車通勤を禁止している…」なんていうケースでは、労災の認定を受けることはできるのでしょうか?

結論から言うと、このような場合でも、労災の対象にはなり得ます。

そもそも労災保険には、「業務災害」と「通勤災害」の2種類があり、通勤途中で事故にあった場合は「通勤災害」に分類されることになります。事故に遭った経路が「通勤災害」の対象となる「通勤」に当たるかどうかは、労災保険法7条2項に要件が定められているのですが、特に問題となりやすいのが「合理的な経路及び方法」といえるかどうか、という点。

「合理的な経路及び方法」とは、一般に労働者が用いるものと認められる経路及び手段をいいます。たとえば、飲み歩いて酔っぱらって帰る途中で事故にあったような場合、合理的な経路を逸脱しているとして、「通勤」とは認められません。

一方、最寄り駅まで自転車を使用することは、一般の労働者が用いる「合理的な経路及び方法」といえるでしょうから、労災保険の対象になると考えて差し支えありません。最近では、健康のために会社まで自転車通勤している、なんていう方も増えていますから、この場合も「合理的な経路及び方法」と判断される可能性はあるでしょう。ただし、寄り道や遠回りなどで合理的な経路を外れていると「通勤」とは判断されないので、注意が必要です。

では、会社が自転車通勤を禁止している場合は、何か影響があるのでしょうか?

これも結論から言うと、労災保険の観点では、影響がありません。自転車通勤は、通常用いられる交通手段ですから、会社が禁止しているからといって「合理的な通勤手段ではない」と判断されることにはならないでしょう。

ただ、会社が禁止している以上、「服務規律違反」として何らかの処分をされる可能性はあります。会社からは通勤費として定期代を受け取っておきながら、自転車通勤をしていた…なんてことになると目も当てられません。懲戒処分の可能性などもありますので、困ったときは弁護士等の専門家に相談してみたほうがよいでしょう。
(刈谷龍太弁護士/弁護士法人アディーレ法律事務所)

※この記事は2013年6月に取材・掲載した記事です

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