肉をやわらかくするためってホント?

実は意味がある肉と果物の甘い関係

2014.07.14 MON


中華料理の定番メニューとしておなじみの「酢豚」ですが、よく耳にするのが「なんでおかずにパイナップルが入ってんの!?」というご意見。一説にはパイナップルの酵素が肉を柔らかくするからなのだとか。だとしたら肉+パイナップルというのは合理的な調理法ですが、実際どうなのかを料理研究家の林幸子先生に聞いてみました。

「確かにパイナップルに含まれる『ブロメライン』という酵素はタンパク質を分解しますが、実は炒める時の加熱によってその能力をほとんど失ってしまうのです」

ということは、酵素関係なし!? ではいったいなぜこんな組み合わせが?

「フルーツの酵素で肉や魚が柔らかくなることは19世紀から研究されていましたが、酢豚+パイナップルが生まれた背景とは別の話なんです。発祥はイギリス領だった香港や、フランス租界の影響が強かった上海で、当時ヨーロッパから入ってきたばかりで貴重だったパイナップルを酢豚に入れることで、欧米人に高級感のあるハイカラな食べ物という印象を与えたかったのです。実際にパイナップルを入れてみたら豚肉とも相性が良く、酢の酸味との相乗効果で味に深みが出たので、そこから定番化したようですね」

ちなみにもう一つの肉+フルーツの定番・生ハムメロンの場合、フルーツはあくまで生ハムの塩気を引き立たせるための添え物とのこと。みずみずしくて酸味が少ないフルーツであれば、メロンでもイチジクでも柿でも美味しいそうです。

でも、フルーツを使った料理を好まない日本人がけっこういるのはなぜでしょう?

「欧米ではデザート以外の料理にほとんど砂糖を使わないため、甘みを出したい時はフルーツで味をつけるんです。でも砂糖やみりんを日常的に使う日本では、フルーツを料理に使う必然性がなかったんですね」

2世紀も生き残ってきたパイナップル入り酢豚。苦手な人も、その歴史の重みを感じながら味わえれば、味の印象が変わってくるかも。

※この記事は2011年7月に取材、掲載した記事です

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