身体にまつわる都市伝説 第107回

遠くを見ると、目は良くなるの?

2014.07.20 SUN

身体にまつわる都市伝説


数メートル先に目の焦点を合わせることを習慣化することで、近視の進行は抑えられる。自分のデスクから目を移しやすい、わかりやすい目標物を見つけておこう 写真提供/PIXTA
パソコンを使うようになってから、急激に目が悪くなってきた――。そう実感している人は多いのではないだろうか。かくいう筆者も、低下する一方の視力を少しでも引き戻そうと、休憩時間に目の運動をしてみたり、窓から遠くを眺めてみたりと、あの手この手を講じている。

でも、昔からよくいわれる「遠くを見ると目が良くなる」という噂は、事実なのだろうか? 横浜相鉄ビル眼科医院の大高功先生に聞いてみよう。

「遠くを見ることで一度進んだ近視が改善される可能性は、大人の場合はほぼゼロといっていいでしょう。ただし、近視の進行を予防する効果はあると思いますよ」

パソコンのみならず、スマートフォンの普及で現代人の目はいっそう酷使されている。視力の回復は見込めなくても、こまめに遠くを眺める効果は大きいと大高先生は語る。

「遠くといっても、山や森などの風景を見ろというわけではありません。ほんの3m先の壁に数秒目を向けるだけでも十分なんです。目の水晶体を動かしている毛様体筋は、近くを見るときに収縮し、遠くを見るときに弛緩します。毛様体筋が収縮している時間が長いほど近視が進む傾向があるとされていますから、たとえばパソコンを使っている時も、画像や動画を読み込んでいる隙など、5分に1度くらいのペースで視点を遠くに移してやれば、そのつど目の筋肉がふっと緩むのが実感できるはず」

ちなみに大高先生によれば、視力が下がるということは、より近くで焦点が合いやすくなっていることでもあり、つまりは目が「適応」している状態でもあるという。軽度の近視であれば、必ずしも目の健康状態として悪いことではないのだ。

「ただし、あまりに近視が進んで“強度近視”になると、網膜の病気の発症率が上がるなどリスクもあります。できればほどほどの近視にとどめておきたいですね」

オフィスの壁でも窓でも、ちょこちょこ毛様体筋を緩めるための目印を見つけておこう。
(友清 哲)

※この記事は2012年7月に取材・掲載した記事です

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