SFの世界はどこまで現実に?

永遠の命は?人体冷凍保存の現実性

2014.08.07 THU


冷凍保存状態になった患者を冷凍ボックスに収容する場面。なお、頭部のみを保存するサービスも存在する
SF小説やマンガなどでたまに見かける「人体冷凍保存」。コールドスリープとも呼ばれ、生きたまま凍らせた人体を、将来的に解凍して復活させる技術、という設定だ。これって現代の科学力を持ってしても不可能なんだろうか? 日本で人体冷凍保存への理解を広める活動をしている、日本クライオニクス協会の緑川ひかるさんに聞いた。

「生体の冷凍保存は、残念ながら技術的に追いついておらず、生きたまま凍らせることは今のところ不可能。ただ、一定の範囲内では可能なこともあります」

具体的にはどんなことならできるんですか?

「組織が生体より単純な精子は、活動状態からの冷凍保存を実現しており、20年以上も前に冷凍保存した精子で健康な子どもが生まれた例もあるほどです。また、ネズミの腎臓をいったん取り出し、しばらく冷凍させたうえで解凍し、再び機能を取り戻したという例もあります」

調べてみると細胞レベルでは冷凍保存する技術が確立されているようだ。だが、緑川さんによれば、全く別の意味で人体の冷凍保存を行う人たちがいるという。

「現在ではクライオニクスと呼ばれる、遺体を冷凍保存する手法があります。現在アメリカで人体冷凍保存を行う団体、アルコー生命延長財団には、死後に冷凍保存を希望する登録メンバーが921人、また、現時点で98人が冷凍保存されていますが、これは科学技術が発達した未来に、ナノテクノロジーを駆使した技術で生き返らせることを期待しているのです」

遺体を冷蔵庫に入れて、凍結するようなイメージですか?

「単純に冷凍しているわけではありません。ガラス化という冷凍保存技術を使います。ガラス化とは、水分が凍って氷にならないように固める方法です。冷凍時に結晶ができてしまうと、解凍するときに細胞を破壊してしまうのですが、近年開発された技術により、脳内での結晶形成をほぼ完全になくすことができるようになりました」

冷凍の技術が進化しても、復活させる技術が進化しなくては意味がなく…。永遠の命を人体冷凍技術で手に入れるのはまだまだ難しいようです。
(伊藤 裕/GRINGO&Co.)

※この記事は2010年08月に取材・掲載した記事です

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト