海外相手に日本の法律はどこまで有効なのか

「法の抜け穴」の実態とは?

2014.08.29 FRI


「安い」「便利」だからといって、海外サイトを利用するともしかしたら裁判沙汰…なんて事態になってしまうかも。そうならないためにも海外を相手にした場合の法律のことも知っておきたいもの
“超円高”が定着した昨今、海外の通販サイトで買い物したいというニーズが高まっている。だが、海外サイトとなれば不安はつきもの。詐欺などの被害にあうおそれも、勝手知ったる国内サイトより高いといえるだろう。

では万が一、そうした被害にあってしまったとき、日本にいながら海外の運営元を訴えることはできるのだろうか? 国際法に詳しい法律事務所オーセンスの岩沙好幸弁護士に聞いてみた。

「加害者が海外にいても、被害者が日本国内にいれば、日本の裁判所で損害賠償の裁判をすることが可能です。海外の裁判所で裁判をすることができる場合もあります。ただ、海外在住の外国人を日本の裁判所で訴えても日本からの呼び出しに応じる人はほとんどいません。だから実質的な裁判ができる可能性は極めて低いんです。また、勝訴判決を得ても、その判決が直ちに海外で通用するとは限りません」

日本で訴えても判決が無意味になる場合があるってことか。じゃあ海外で訴えたら?

「海外で訴える場合は裁判のたびにこちらから出向かなければならず、大変なお金と時間が掛かります。しかも勝訴しても満足のいく損害賠償を得られるとは限りません。……となると大抵、皆さんあきらめてしまうんです」

理論上、訴えることができても、訴える側の負担が大きすぎて現実的ではないということですね。

こうした状況に悩まされているのが、海外のサーバーに海賊版アニメなどをアップされている著作権者。これらの行為は著作権侵害にあたり、理論上は日本の法律で裁いてもらうことができる。でも現実的には裁判しても意味がないので、結果的にやられ放題。手の打ちようがなく不正に映像が垂れ流されてしまうのです」

悪いことをやった人が結果的に野放しというのはなんとも納得いかない話ですね。

「罪を犯しても日本の法律で裁けないケースとしては、もうひとつ“治外法権”というものがあります。たとえば大使館内は治外法権なので、内部で犯罪が行われても日本の警察は手出しができません」

ただ、相手国との条約によっては、犯罪者の引き渡しを要求することができる場合もあるので、先に挙げた著作権侵害のようなケースとはだいぶ事情が異なっている。だが、人・モノ・情報が国をまたいで移動することがふえた今、法の“網の目”から漏れるケースもふえているようだ。被害にあっても泣き寝入りしてしまう…なんてことにならないよう、海外サイトの利用にはくれぐれも気をつけたい。
(齋藤 玲/清談社)

※この記事は2012年8月に取材・掲載した記事です

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