身体にまつわる都市伝説 第165回

「ほくろが移動する」説の真相

2014.09.09 TUE

身体にまつわる都市伝説


「ほくろ」とひとくちにいっても、タイプは様々。一見、移動したかのように錯覚させる現象は、たしかに起こりえる 写真提供/PIXTA
たまに、「ひじのあたりにあったほくろが、二の腕あたりに移動している」なんていう人がいる。

ほくろというのは外科的な処置をしないかぎり、一生その場にあり続けるものだと思っていたが、必ずしもそうではないのだろうか? もし動くのだとしたら、人の顔を特徴づける個性としては、ほくろは意外と曖昧なものということになるが…。

「いえ、ほくろが移動することはありません。ただ、移動したかのように錯覚することはあるかもしれませんね」

そう語るのは、用賀ヒルサイドクリニックの鈴木稚子先生だ。詳しく聞いてみよう。

「ほくろにもいくつか種類があります。皆さんがイメージする最もオーソドックスなほくろは“母斑細胞性母斑”と呼ばれるタイプで、皮膚の下にある母斑細胞がメラニン色素などと作用し合って作りだすもの。これに対して、いわゆる“シミ”というのは、メラニン色素だけが皮膚に表れるもの。そして、このシミと同じように、皮膚の上で局所的にメラニン色素が生成されたタイプのほくろを“単純黒子”と呼びます。根っこに母斑細胞を持たないこの単純黒子は、のちのち肌の上から消えてしまう可能性もあります」

腕まわりなど見やすい部位にほくろをお持ちの人はぜひ確認してほしいが、たしかに皮膚に黒い色素だけが浮いている、凹凸のない小さなほくろを見かけることはある。この単純黒子に関しては、何らかの理由でメラニン色素が薄まり、消えてしまうことがあるのだという。

「存在したはずの単純黒子が消えて、もしその付近に新しい単純黒子が発生したとすれば、おそらく人は“ほくろが移動した”と錯覚してしまうかもしれませんね」

つまり、実際には「移動」ではなく、「元のほくろが消えて新たなほくろが誕生した」わけだが、ほくろが動いたと勘違いさせるには十分な現象。年齢を重ねるとメラニンが生成されやすくなるから、これからこうした現象に遭遇することもあるかもしれない。
(友清 哲)

※この記事は2013年9月に取材・掲載した記事です

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